dream
□子作りしましょ
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スパァン!!
「カラ松、子作りしよう!」
「ええ!?」
「ぶふっ!?」
勢い良く障子を開け放って部屋に入って来たななしちゃんが開口一言。
カラ松は素で驚き、僕は飲んでいたお茶を吹き出した。
「あれ、チョロ松もいたんだ。部屋にカラ松しかいない今がチャンスよ!ってお義母さんに言われたのに」
「いやいやいや、色々突っ込むところ多すぎるんだけど!チャンスって何!?母さん!?ていうかいつの間に《お義母さん》!?」
「相変わらずうるさいなぁチョロ松は……姑か」
「いや、姑はななしちゃんから見たらそのお義母さんだからね!?」
今、この部屋にいるのは僕ーーチョロ松と、カラ松、そして今入って来たばかりのななしちゃんの三人。
他の兄弟達は出掛けていて、母さんはたぶん、一階の茶の間に居る。
ななしちゃんは近所に住んでる女の子で、家の外で会ったときとか、普段は割と普通の子なんだけど……カラ松が絡むとヤバい。カラ松にベタ惚れしてるらしいななしちゃんは、今日みたいにいつでも恥じらいなくカラ松の貞操を虎視眈々と狙って来る。
「ああっ…素で驚いて言葉も発せずに目をパチパチさせてるカラ松超絶かわいいよ…養いたい。ていうかツナギ服の着こなし方相変わらず最高にエロかっこいい、抱かれたい」
前後の文脈に関係なく、『かっこいい』というワードにだけ反応したらしいカラ松が、はっとしていつものようにカッコつける。
「フッ……別に普通」
「かっこいい!イケメン!抱いて!」
「ええ!?」
「この際チョロ松がいても気にしない!」
「いや、気にしろよ!」
「ま、待てななし、こういうのは、何事も順序ってものが…」
「そんなの私は気にしないよ!」
「お、俺は気にするんだ…!」
…ななしちゃん相手だと突っ込み役になるんだな、カラ松でも。
ていうかさっきから思ってたけど、ななしちゃんとカラ松と同じ空間にいると、カラ松ばっかりちやほやされて、なんか……全然面白くない。
そうだ、本屋にでも行こう。
「…カラ松、僕も出掛けてくるから」
「!ま、待ってくれチョロ松!俺を見捨てないでくれ……!」
「なんで、いいんじゃないの別に。そのまま童貞卒業しちゃえば」
「そうだよ!お義母さんからの了承も得てるんだから!」
「母さん!?」
「ああ…。母さん、孫欲しがってるからね……」
助けを求めてくる二男を尻目に、僕は部屋を後にした。
「…で?結局カラ松は童貞卒業したの?」
「いや、普通それストレートに聞く!?」
「……」
「セクロス!セクロスしたの!?」
「声が大きいよ、十四松兄さん」
「…言いたくない…」