dream

□親睦を深める
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「ふっ…ラテのトールサイズ、エスプレッソドッピオを2つ」

「かしこまりました。他にご注文はございませんか?」

「ななし、どれか食べたいものあるか?」

カラ松はショーケースを指差して、私の顔を覗き見る。

「えっと……ううん、大丈夫!」

「…そうか?」


それなら、と言いながら、カラ松はレジ横に置いてあったクッキーを2つ手にした。



私は今、カラ松と一緒に駅前のスタバァに来ている。
先日、私とカラ松は上手くいけば一線を越えて既成事実を作れるはずだった。が、寸手のところでカラ松が「やっぱりこういう大事なことはお互いをよく知ってからがいい」と涙目で懇願してきたものだから、可愛いカラ松のお願いを無視することなど私にできるはずもなく、こうして今日、親睦を深める為のデートをすることになったのである。



窓際の席に着き、カラ松はやけに大きな動作で足を組む。
サングラスを外して革ジャンのポケットに入れ、お手拭きで手を拭き、そしてラテを優雅に口に運ぶ。
ちなみにその間ずっとドヤ顔である。

私の視線に気付いたカラ松が、

「フッ…そんなに俺に見惚れてばかりいたら、せっかくのラテが冷めてしまうだろう?カラ松ガール」

そう言って私に気遣ってくれた。

「あ、うん。ありがとう」



あああ、今日も超絶かっこいいよカラ松、今すぐ抱きつきたい。…でも今は公共の場なので、ぐっと我慢する。
そういえば、今更だけどこうしてカラ松と二人きりで出掛けるなんて、初めてかもしれない。
橋の上でカラ松を待ち伏せしてたり、偶然街中で出会ったりすることはあったけど、今日みたいにきちんと約束して二人きりで出掛けるなんてことは今までなかった。

まるで恋人同士みたいだと思った瞬間、身体が熱くなり、いつも以上にカラ松を意識してしまう。



「この後は、どこか行きたいところはあるか?」

「えっ!?あ、ああ、ええと……特にないよ!」

最終的にラブホに行ければなんでもいいよ!なんて今は言えるはずもなく、咄嗟に応える。
なんだか今日は挙動不審になってしまっている気がして、気を取り直そうと話題を変える。


「そ、そういえばさ!カラ松、香水変えた?」

「ん?あ、ああ、よく気付いたな!実は今まで使ってたブランドの新作が出て、試しに買ってみたんだが…。匂い、キツイか?」

「ううん、全然そんなことないよ!いい匂い!…そうだ、私もカラ松と一緒の香水が欲しいな!」

「そ、そうか!じゃあ、同じブランドのレディースの香水、見に行ってみるか?好みもあるだろうからな。実際行ってみて、ななしが気に入ったら買おうか」

そしたらお揃いだな、と、カラ松は無邪気な笑顔を浮かべた。
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