dream
□親睦を深める
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先に店を出て少し待っててくれカラ松ガール、と言われたので、私はカラ松がコップやトレーを片付けてくれてる間、お先にスタバァの前で待つことにした。
カラ松と買い物、カラ松とお揃いの香水。
考えるだけですごく楽しみだ。思わず顔がにやける。
浮き足立ってふらふらしていると、
ドン!
と、誰かにぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさ」
「いってぇな!どこ見て歩いてんだこのくそアマ!」
……どうやらまずい人とぶつかってしまったらしい。
謝ろうと口を開きかけるが、それよりも早く、大きな声で怒鳴られ続ける。
…怖い。
「人にぶつかっといて謝りもせんのか!?おい!」
「すまない。彼女は俺の連れなんだ。俺が代わりに誤るから、勘弁してくれないか」
怖くて俯いていたら、急に聞き慣れた声が、すぐ側から聞こえてきた。
顔を上げると私のすぐ横に、男から私を庇うように右手を上げたカラ松がいた。
「ああ!?なら土下座しろ、ここで!今すぐ!」
「……。わかった。だが、それなら、お前も彼女に土下座して謝るんだろうな?」
「ああ!?」
「俺はさっき、彼女とお前がぶつかるところを見ていたが……彼女とぶつかる前、お前はずっとスマホを見つめたまま歩いていた。謝罪ならば、お前も彼女にするべきだろう」
「なん…」
男は何かを言いかけたが、ふいに言い淀むと、舌打ちをして私達の前から去って行った。
私は不思議に思い、そっと隣を見上げる。と、
「……!」
今まで見たことがないような冷たい目で、男を睨むカラ松の顔が、そこにあった。気がした。けどすぐにいつものカラ松の表情に戻る。
「すまない、怖い思いをさせて」
「っ、ううん、私は大丈…」
大丈夫、と言いかけたところで、カラ松に手を握られる。
「…手、震えてる…」
カラ松はそのまま、自然な動作で私を抱き寄せ、
「安心してくれ。今日はもう、俺はこの手を離したりしない。もう怖い思いなんてさせないから」
そう、子供をあやすような優しい声で言われ。
色々な展開に着いていけず、私はそのまま鼻血を吹いて気を失った。
「で。どうだったのななしちゃん、カラ松兄さんとの親睦は深められたの?」
「…とりあえず興奮しすぎて心臓がもたなかった」