終わりのセラフ短編

□☆血のにおい
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『血のにおい』

例え何処にいても貴方はやってくる
私のにおいがわかるらしい。

例え血を流していなくても
貴方を引き寄せる私の血のにおい

「亜紀」

貴方は不敵な笑みを浮かべ近づいてくる

「何処に行くんだい?家畜の分際で。僕から逃げ切れるとでも思ったの?」

少しずつ近づいてくる
彼の名前はクローリー・ユースフォード
貴族の吸血鬼だ
何故かそんな吸血鬼に気に入られてしまった私は

「ほら捕まえたよ」

見つかったと思ったらあっさりと両手を捕まえられて上に上げられる
身動きが取れない…
彼は私を見て…冷たい笑みを浮かべた

もう逃げられない

「離せ…」

何度逃げたかわからない
けれど、逃げる私を追いかけるのが面白くてクローリーはわざと私を逃す
それがわかっていながも、私も逃げ出そうとするのだから
私の諦めの悪さも大概だ

「逃げられるわけないのに…ほんと、君は変わってるね」
「うるさい。お前だってわざと私を逃して…変わってるだろ。それになんで毎回毎回、私の居場所がわかるんだ。」

クローリーは私を逃した後こっそりつけてくるとかはしない
私が逃げて2日くらいたってから見つかることが多い

「さぁ?なんでたろうね」

そう言ってクローリーの顔が私の首筋に近づいてきて…

「亜紀の血のにおいが僕を呼んでるんだよ」

スンっと鼻に空気が通る音がしたかと思うと

「うん。いいにおい」

と言ってツゥッとクローリーの牙が私の首筋の皮膚を破った

「うっ…………」

痛いような…けれど、我慢できないほどではないもどかしい痛みが私を襲う

「亜紀が亜紀である限り僕からは逃げられないよ。さぁ帰ろうか。僕の可愛い家畜ちゃん」
「………」

何も言い返せない私は…
いつも通りまた、クローリーの拠点に連れて行かれるのだった


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