終わりのセラフ短編
□★従者
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最近、チェスとホーンがクローリーの血を飲んだという情報を入手したアキは
アポなしでクローリーのいる名古屋市役所に突撃訪問していた
「クローリー!!お前ってやつは!!」
問答無用!と開け放たれたクローリー自室の扉
そこから…綺麗な顔を歪ませながら入ってきたアキ
「いつも言ってるだろ?!私というものがありながら!何故お前はそれ程までに、浮気者なのだ!!」
「え……??」
突撃訪問にあっけにとられた挙句
主語のないアキの話しに
何がなんだかわからないっといった表情を浮かべるクローリー
「とぼけても!ネタはあがってるのだ!!」
そして、あろうことかアキは剣を抜いてクローリーに突きつけた
「お前も剣を抜け。そして私を切れ。そうすれば、今回の罪は免罪としてやろう」
「ちょっ…ちょっと待ってよアキ??僕には君の話が見えてこないよ」
「いつまでもシラをきるつもりだな。仕方がない。私は聞いたのだ!お前が従者にお前の血を分け与えたことを!!」
「…………あ……………。」
そこまで聞いて、クローリーはやっとアキの怒っている理由が把握できた
「アキ…ヤキモチ??」
「なっ?!?!そんなわけあるか!このアキ様がヤキモチなど、そんな低俗な感情を持ち合わせている訳が無いだろう!!///」
無いだろうと言いながら
顔を赤らめ、焦った様子を見せるアキをクローリーは抱き寄せた
その拍子に下にカランっと音を立てて落ちるアキの剣
「ごめん。たまたま僕が怪我して…良いよって言ったんだよ。怒った??」
「そんな言い方してもダメだ!浮気者!」
クローリーはアキを抱きしめる手に力を入れる
「ごめんね。お願いだから、浮気とか言わないで欲しいな。僕が好きなのはアキだけなのに。」
「………」
「ごめんね。」
「………」
「ねぇ。僕のこと信用ない?」
「………」
「僕のこと…好き?」
アキは無言で頷いた
その反応を見てクローリーは満足げに笑った
「お前は…たまにこのようなことをする。だから言うのだ、私をお前の従者にしろと。」
少し冷静になったのか、落ち着いた口調でアキが言った
「でも、アキは僕より貴族階級が上だよ。そんな人を従者になんてできないよ」
「従者になれば、常にお前のそばにいれる」
「何言ってるの。アキは僕より階級が上な分、お仕事も多いじゃない。身分が違うんだから。」
「それが不安なのだよ」
「わかってるよ」
「わかってない!!」
クローリーの身体からアキの身体が少し離されクローリーの顔が見えるようになる
クローリーは少し困った顔をしていた
「僕が君を従者になんてしたら、上が黙ってなんていない。それに……」
「それに?」
「僕は…こんなに可愛いアキを従者にするなんて勿体無いと思うけど?」
「なっ?!?!///」
「ヤキモチまで妬いて可愛すぎるよ」
もう一度クローリーはギュッとアキを抱きしめた
それは
それは
大切なものを扱うように
暖かく
包み込むように
「わびとして…血を吸わせろ」
「……あ。それは却下。」
「何故だっ………っ………///」
反論しようと身体離そうとしたが
引き寄せられ
重なる
唇
「それは…僕が今からアキの血を頂くからね」
「なんで?!なんでだ?!お前反省してなっ………ぃ………」
アキは反論を言い終える前にクローリーの吸血により
身体の力が抜ける
吸血鬼同士の吸血行為に意味はないが
痛む傷口が少しずつ快感に変わっていく
そして血を飲まれることにより、頭の芯がボーッとしていく
「クロー……リー…………。」
「好きだよ。アキ…。君を僕の従者になんてしてあげない。僕と君の間にあるのは主従関係じゃないからね。そんなもので繋がる思いなんていらないよ。」