終わりのセラフ短編

□☆先制布告
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人間の亜紀と吸血鬼のクローリー
本来ならば結ばれるはずの無い2人なのだが
亜紀の思いがクローリーに届き
晴れて両思いになれた

そんな幸せ真っ只中な亜紀には悩みがあった


それは


時々訪ずれるフェリドという存在


彼とは嫌な思い出しかないので、極力会いたくない……
それはクローリーもわかっているので
会わないですむように
してくれているのだが
それをわかっていながらも
彼はやってくる

そして

ある日

運悪く

クローリーが不在の時に彼はやってきた

「やぁ。亜紀ちゃん。元気だった?クローリー君がなかなか君に会わせてくれなくて」

しかも、なんの許可もなく亜紀とクローリーの部屋に入ってきて

「君にこんなにも僕は会いたがってるのに、クローリー君がねぇ〜」

答えない亜紀に対して、一方的に話しをする

「僕ね。クローリー君の興味をひく君の存在が気になるんだよね」

ひたすらダンマリを決め込む亜紀に
めげることなく話しかけるフェリド

「いつも、いつもクローリー君は僕の邪魔をするから」

負けじとだんまりを決め込む亜紀
無視していたら、そのうちに諦めて帰るだろうと思っていたが

逆にそれが裏目に出てしまう

「それに…君の血………美味しかったんだよね」

しまった……

と思ったが

時すでに遅し

先ほどまで2人の間には3メートル程の距離があったのだが

もぅ50センチのところまで、距離を縮められた

ダンマリを決め込む前に逃げられるかはわからないが
逃げておくべきだったんだ

と後悔した

「ねぇ?この前みたいに…また血を吸わせてよ」

背筋が凍った気がした
そして有無を言わせぬ態度に拒否をすることも出来ず

フェリドの

牙が

近づいてくる

やめて

やめて

やめて

やめて

助けて

助けて




「クローリー!!!!!」




亜紀は必死で助けを呼ぶと
それと同時にクローリーがバンッと扉を開けて部屋の中に入ってきた

そして

フェリドに声をかけることもなく
クローリーは剣を抜きフェリドに斬りかかった

「クローリー君…酷いね。僕の手を切るなんて」

ばっさりと切られたフェリドの手

「何言ってるの。フェリド君なら、それくらいの傷なんともないだろ」

フェリドの手を切った後は素早く亜紀を抱え、距離を取る

しばしの沈黙が

2人を包む

亜紀はそっと2人の様子を伺う

余裕そうなフェリドと

急いでここまで来てくれたのであろうか
息をいらしている、クローリー

そして沈黙を先に破ったのは

「何を家畜にそんな、熱くなってるの?」

フェリド

「亜紀にちょっかい出さないでくれるかなぁ。いくらフェリド君でも、許さない」
「許す許さないとかじゃなくて、クローリー君が僕に勝てるのかい?」
「亜紀を………守るためなら、何としてでも勝つよ」
「熱いね〜なら、やってみる?」

フェリドが剣を抜いた

亜紀を抱えるクローリーの腕に力が入った

「亜紀ちゃんの血が美味しくて、それにクローリー君が興味をひかれる亜紀ちゃんのこと、僕も欲しくなっちゃったんだよね」
「………」
「譲ってくれるなら、このまま剣をしまうよ?別に、たまに貸してあげることくらいしてあげるし、それでいいんじゃない?」
「亜紀は絶対に渡さない」
「………」
「………」

また2人の間に訪れた沈黙

そして

フェリドは大きく息を吐いて
剣を鞘に収めた

「今、クローリー君を失うと困るから今日のところは我慢するよ。けど………」

ニコリと微笑みを浮かべるフェリド

「また来るから覚悟しといてね。クローリー君。亜紀ちゃん」

フェリドは静かに部屋を後にした



敵が増えたなと思うクローリーと

クローリーのいろんな言葉が頭をぐるぐると回って
顔を真っ赤にさせて混乱する亜紀だった

ちなみに、クローリーはフェリドの嘘で他の地域に行かされていたが
誰もおらず、騙されたと気づき焦って名古屋まで戻ってきたため
息を切らせていたそうです。





🌟🌟🌟🌟🌟

WEB拍手で頂いたクローリーとフェリドの取り合いをテーマに書きました。
これ取り合いになるのかなぁ……
けど、楽しく書けました(o^^o)
リクエストありがとうございました。

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