空色スパイラル

□第十訓 疲れた時は酸っぱいものを
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「定春ぅ〜!!
こっち来るアルよ〜!!」


『定春〜!!
フリスビー 行くよ!!』


『「ウフフフフフ!!」』


公園にて、巨大な犬と女の子二人が遊んでいる。
その様子を、ベンチに座った包帯だらけの男二人は遠目から見ていた。


「……いや〜、スッカリなついちゃって。
ほほえましい限りだね、新八君」


「そーっスね。
女の子には やっぱり大きな犬が似合いますよ、銀さん」


「僕らには、なんでなつかないんだろうか、新八君」


「なんとか捨てようとしているのが、野生のカンでわかるんですよ、銀さん」


「なんでアイツらには、なつくんだろう、新八君」


「確かに、愛さんには心の底から、なついてますけど。
神楽ちゃんにはなついてはいませんよ、銀さん」


神楽と愛は相変わらず定春と遊んでいる。


「襲われてるけど、神楽ちゃんがものともしてないんですよ。
定春は愛さんとだけ遊びたがってるんです、銀さん」


「なるほどそーなのか、新八君」


すると、神楽が愛を連れて、走ってきた。


「楽しそーだな、オイ」


「ウン。私、動物好きネ」


『定春 すごく可愛いっすよ!!』


「やっぱり女の子はみんなカワイイもの好きヨ。
そこに理由イラナイ」


「愛、考え直せ。
…アレ カワイイか?」


「カワイイヨ!
こんな動物になれたの初めて」


そう言った神楽は定春の体当たりにより、遠くに飛ばされる。



「神楽ちゃん。いい加減、気づいたら?」


愛は銀時に言う。


『少なくとも、幕府のバカ犬共より数万倍可愛いっす』


「銀さん、愛ちゃんの好きな基準が少しわかっちゃったよ」


「私、昔ペット飼ってたことアル。定春一号」


神楽は定春に飛び蹴りを入れる。


「ごっさ可愛いかった、定春一号。
私もごっさ可愛いがったネ。
定春一号、外で飼ってたんだけど。
ある日どーしても一緒に寝たくて、親に内緒で抱いて眠ったネ。
そしたら思いの他寝苦しくて、悪夢見たヨ。
散々うなされて起きたら
定春…。
カッチコッチになってたアル」


『神楽 元気だして…』


「「(泣けばいいのか、笑えばいいのか、わかんないんだけど)」」


涙ぐむ愛と神楽に、銀時と新八は心中でそっと突っ込む。


「あれから私、動物に触れるの自ら禁じたネ。
力のコントロール、下手な私じゃ、みんな不幸にしてしまう。
でも、この定春なら私とでもつり合いがとれるかもしれない…。
コレ神様のプレゼントアルきっと…」


すると、神楽は立ち上がる。


「あ 酢昆布きれてるの忘れてたネ。
ちょっと買ってくるヨ。
定春のことヨロシクアル」


「オイちょっと、まっ…。」


『いってらっしゃい!!』


神楽の背中を笑顔で見送る愛と冷や汗を流す銀時と新八であった。
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