空色スパイラル

□第十訓 疲れた時は酸っぱいものを
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神楽が立ち去ってすぐ。
襲いかかってきた定春を避け、少し目を離した隙に、銀時と新八と定春は広い道路に向かって走っていた。


「ぎゃあああああ」


『待って!! 定春!!』


追いかける定春に逃げる銀時と、新八。
そして、それを追う愛。
しかし、道路に飛び出した二人と一匹、車黒塗りの高級車にはねられる。
すると、車は定春を乗せて走り出してしまう。


『銀時 新八!!大丈夫っすか!?』


「っ! 俺は大丈夫だ。
それより愛、定春を追いかけるぜ」


『うん!!』


銀時と愛は定春を誘拐した車の上に乗ると、フロントガラスの前から車内を覗きこむ。


「オーイ、車止めろボケ。
こいつは勘弁したってくれや。
アイツ、相当気に入ってるみてーなんだ」


「うオオオオオオ!!」


『銀時!!
後方から神楽が鬼のような形相で追いかけて来てます』


「定春返せェェェェェ!!」


すると、神楽は愛用の傘で車を薙払い、池にぶっ飛ばす。
そして、はっと気づく。


「定春ゥゥゥゥゥゥ!!」


神楽の頬を涙がこぼれる。


「(私…また、同じこと繰り返してしまったヨ)」


「お嬢さん」


木の上から、銀時の声がする。


「何がそんなに悲しいんだィ」


『神楽の捜し物はコレっすか?
よかったね、見つかって』


木の上には銀時と愛と元気な定春の姿があった。


「銀ちゃん、愛。
定春!!」


木から降りた定春に、神楽は抱きつく。


「定春ゥゥゥ!!
よかった ホントよかったヨ!!」


神楽は定春に頭をかじられる。


「銀ちゃん、飼うの反対してたのになんで」


「俺ァ、しらねーよ。
面倒見んなら、てめーで見な。
オメーの給料から、そいつのエサ代キッチリ引いとくからな。
行くぜ、愛」


『うん、ありがとう!』


銀時は頭をかく。
その後ろで神楽か叫んでいるが、二人は道路で寝転んでいるであろう新八を迎えに行くため、来た道を引き返して行くのだった。


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