空色スパイラル

□第十一訓 べちゃべちゃした団子なんてなぁ団子じゃねぇバカヤロー
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「団子屋【かんざし】?
そんなもん知らねーな。」


銀時、愛、神楽の三人は、おじいさんの証言を元に【かんざし】と言う団子屋を捜している。


「昔、この辺にあったってきいたぜ」


『何か覚えてないっすか?
些細なことでも構わないから』


「ダメだ俺ァ、三日以上前のことは思い出せねェ。
悪いねェ、愛ちゃん。
お詫びに団子、サービスするよ。
それとよォ、銀時。
お前たまったツケ払ってけよ。」


愛に出された団子は、銀時の口の中へと消える。


「その【かんざし】で奉公してた綾乃って娘を捜してんだ。
娘っつっても五十年前の話だから今はバーサンだろーけどな」


「ダメだ俺ァ、四十以上の女には興味ねーから。
それよりよォ、銀時。
お前たまったツケ払ってけよ。
愛ちゃん、たくさん食べていいからね」







団子屋で一服した三人は、定春を引き連れ捜索を再開した。


「オーイさすがに無理だろコレ。
五十年もたってんだ、匂いなんか残ってるかよ」


そう、三人は定春に匂いを嗅がせて捜していたのだ。


『でも、何一つ手がかりが見つからないんすよ。
残る手段はコレしか…』


「そうアル。それに綾乃さん、もしかして体臭キツかったかもしれないアル」


「バカ。別ぴんさんってのは、理屈抜きでいい匂いがするものなの。
お前は愛を臭いと思ったことあるか?
ないだろ…それと同…。
いや…別ぴんのくせに体臭きついってのも、完璧な女より逆になんかこう燃えるものが…」


『ごめん。
銀時…痛い独り言の最中に……アレ』


愛の指差す方に銀時が目を向けると、万事屋の前だった。


「オイ定春!
お前、家戻って来てんじゃねーか!!
散歩気分か、バカヤロー!!」


しかし、定春は【スナックお登勢】の戸を叩く。


「オイ、まさか…」


中から出てきたのは、煙草を咥えたお登勢だった。


「なんだよ。家賃払いに来たのかィ。
お前、こちとら夜の蝶だからよォ、昼間は活動停止してるっつたろ。
来るなら夜来いボケ」


「……いやいや、これはないよな」


「ナイナイ。」


『わかんないっすよ…、突然変異的なものかも…』


「いや、愛。よく見ろ。
どう見ても、綾乃ってツラじゃねーもん」


「「アハハハハ」」


「なんで私の本名しってんだィ?」


お登勢の登場に顔を見合わせて笑っていた二人だったが、お登勢の一言によって静寂に変わる。


「ウソつくんじゃねェェェ!!ババア!!
おめーが綾乃なわけねーだろ!!
百歩譲っても 上に【宇宙戦艦】がつくよ!!」


『いや、【最終兵器[リサールウェポン]】っす!!じゃなきゃ世界中の綾乃さんに失礼!』


「オイぃぃぃ!!
おめーらメカ扱いかァァァ!!
愛もド天然だって知らなかったら、張り倒してたよ!!」


お登勢は煙草を吸いながら言う。


「お登勢ってのは夜の名…、いわば源氏名よ。
私の本名は寺田綾乃っていうんだィ」


「なんかやる気なくなっちゃったなオイ」


「なに嫌そーな顔してんだコラァァァ!!」


『まあ、見つかって何よりっす。
おじいさんがポックリ逝く前に、お登勢さんを病院に…』



すると、カウンターの黒電話が鳴る。


「ハイ スナックお登勢…。
なに?いるよ、銀時なら」


お登勢は銀時に変わる。


「新八から電話」


「なによ」


「なんかジーさんがヤバイとか言ってるけど」
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