長編

□竜の唄
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ここは、マグノリア王国
人と、人ならざるものとの争いが絶えぬ時代

「ちっ…人間どもめ、余計な真似しやがって」

王国の周りに広がる荒野で、黒髪の少年は1人、目の前に聳える氷の山を冷たく見上げていた

「人の食事の邪魔しやがって…
餌はにげちまったし、まったく…
久し振りに美味そうな餌が釣れたと思ったのによ」

氷の山は中に幾千もの武装した人間を内に閉じ込めており、自然発生したものではないことが見て取れた

「オレの久し振りの食事を邪魔した罪は重いぞ人間ども
氷が溶けるまでそこで反省してやがれ
まぁ、氷が溶けるなんてことはありはしないんだけどな
くはははははは!」

少年の名はグレイ・フルバスター
マグノリア王国でその名を知らぬ者はいないほど有名である彼の瞳は氷のように冷たい蒼を宿し、黒髪に紛れるような漆黒の角が2本生えていた









彼は…人ならざるもの










氷の力を自在に操る悪魔であった
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