distant

□feeling
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繋いでいた手の温もりとか、指の感触とか、抱きしめたときに顎にふれる柔かな髪とか....



『気持ちいい』と言ったら語弊があるかもしれないけれど、誰かにすごく伝えたくなるときがある



幸せすぎて溢れてしまうみたいな


まいがどれだけ自分に必要なのかとか、口に出して改めて感じたいような


言わないけど


頑張らなくても大丈夫と思える場所が増えていく





「まい、お腹空いたな〜。」



背中をくっつけてお互い読書な、久し振りに逢えたにしてはあっさりで、でも心地いい時間


「ん〜....トッポッキつくる?」


寄り掛かるように振り向くまいの、『トッポッキ』の発音が可愛くて、思わず肩をすくめる



「俺がつくろうか?」


「ジェボムがつくったほーが美味しいもんね。」


インスタントなのに、不味くつくれちゃうの、なかなかの才能じゃないかと思うけど





「でも、あとちょっとだけこのまんまで居たいな。」


トントンと、確かめるように背中と背中をくっつけるまい


ああ


甘えられてる


距離を計りながら甘えられるのがすごく嬉しい




まいの右手の小指と、自分の左手の小指が触れる


すぐにでも絡めたいのを我慢して、小さく溜め息


「幸せすぎて、苦しい。」

「え?」

唐突に言ったから、まいが驚いたように振り向く



俺は意地悪だから、面と向かっては言ってあげない


「お腹空いた!」

「ええ〜?」


不満そうに唇を尖らせちゃって


ああ


可愛いなぁ



照れくさいから、面と向かっては言えないけれど




ちゃんと伝えられないクセに、愛想尽かされないかいつも心配でたまらなくて....


バカだなって思うんだけれど


ずっと隣に居てほしいんだ


まい、いい?


開き直らないで、ちゃんと努力するから





fin

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