落花流水 〜過去篇・壱 遭逢の時〜
□*序幕* 悠然に凜と咲く花
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男は縁側に座り生まれたばかりの女の赤子を愛でていた。
「なぁ、この子に名を授けてくれないか?」
「私で宜しいのですか?」
赤子の両親は「「是非宜しく頼む(みます)」」と頭を下げる。
男は「わかりました」と笑みを浮かべ、赤子を見つめ少し思案する。
男は視線を庭に移し、その先には綺麗に咲き誇る百合の花が映った。
「あの百合の花のように…悠然に凜と咲く花、『悠凜』という名はどうですか?」
男は友人の夫婦に告げる。
「『悠凜』、良い名だ」
友人は悠凜を見つめながら、
「悠凜は俺らの花ってことだな、瑠璃」
「そうね、碧。この子は月城家の花。大事に育てましょうね」
「ありがとう。松陽」
男、吉田松陽は優しく微笑み『悠凜』の頭を撫でた。
字幕 『*第壱幕* 鬼の子』