落花流水 〜現代篇・壱 紡ぐ時〜
□*序幕* 追憶の彼方
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「…銀…に……て…」
自分を呼ぶ声が聞こえる。
辺りを見回すと炎で包まれていた。
業火の中、一点を見つめる。
「?!『――』!!」
自分の名を呼ぶ相手に手を精一杯伸ばす。
手がもう少しで届くと思った瞬間。
「くっ!!」
その相手が血を吐き崩れる。
「?!『――』!!」
その名を叫ぶが炎に消えていく…。
バサッ
「はぁはぁ…」
銀時は右手を天に伸ばしていた。
目を覚まし、ここがどこかを確認する。
理解した銀時は『ゴクっ』と生唾を飲み込んだ。
(…夢…か…)
銀時は天に、否、天井に伸ばしていた手を握り締める。
体を起こし、握り締めた両手を見つめる。
(…なんつぅ、夢見せるんだよ……)
頭をワシワシ掻きながら一言。
「嫌な夢だ…」
銀時は二度寝しようとしたが、先程の夢が浮かんだ。
「…ちっ!少し早いが起きるか」
銀時は寝床からしぶしぶ起き上がり、シャワーを浴びに行った。