落花流水 〜過去篇・壱 遭逢の時〜 

□*第拾弐幕* 誕生日
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「「えいッ」」


道場に響く塾生達の声。


銀時、高杉、桂も一緒に稽古に勤しんでいた。


「こんにちは〜」


庭から女の声が聞こえた。


(瑠璃?!…)


銀時達は手を止め、庭の方を見遣る。


「あら、瑠璃さんと…碧さん」


「「こんにちは」」


塾生達は碧と瑠璃に、一斉に挨拶をする。


「おう、こんちは。悪ぃな、稽古邪魔したか?」


「いえ、丁度休憩しようと思っていましたから、皆さん休憩です」


休憩の一言で塾生達は、座りこんだ。


銀時は碧と瑠璃に近づき、周りをキョロキョロと探す。


「銀時…、まず、挨拶だろ」


「う…、こんちは…」


「上出来」


グリグリと銀時の頭を撫でる碧。


「おい、悠凜は…?」


ぴょこ


「ここにいるよ」


碧の背中に隠れていた悠凜が顔を出す。


「?!…」


そして銀時に近づき、ニコッと微笑む。


「へへへ、銀時お兄ちゃんに会いたくて、
今日も来ちゃった」


ポロッ


悠凜の言葉に思わず、竹刀を落す銀時。


「う、え?!…あ?!」


ガサッ、コロッ


慌てて落ちた竹刀を拾おうとするが、
動揺して上手く掴めなかった。


「朝から煩いんだよ。ほんと、どうしてくれんだァ…。銀時?」


黒い笑みを浮かべながら、銀時の耳元でボソッと呟く碧。


「は?!俺のせいかよ?!」


「あ?!晋助お兄ちゃん、小太郎お兄ちゃん」


(((げ?!)))


銀時、高杉、桂は冷や汗をかく。


グイッ


「ああああ?!悠凜、待て、待て!」


慌てて悠凜の腕を掴む銀時。


「ん、なあに?」


「何じゃなくて…、あ?!あっちで、俺と遊ぼうぜ」


「銀時お兄ちゃんと?晋助お兄ちゃん達は?」


「あ…あいつらは忙しいから、なッ。俺と遊ぼう」


「うん」


ニコッと微笑む悠凜。


銀時は刀を持つと悠凜を奥の部屋に連れて行った。


((ふ〜、また、銀時の機嫌が悪くなるとこだった))


冷や汗を拭う高杉と桂。


「今の女の子誰?」


「可愛いかったな〜」


ピクッ


「「止めとけ」」


塾生達の言葉に慌てて反応する高杉と桂。


「「え!?」」


「「銀時にボコボコにされるぞ」」


二人の迫真の表情に塾生達は、無言で頷いた。


(ふ〜ん、あのチビ共か。銀時のライバルって奴は…。
それにしても随分、ガッチリガードしてくれやがって…)


フッと微笑み、悠凜と銀時の背中を見遣る碧。


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