★桜の花が咲く頃に★【完結】

□17_鎮魂歌
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『ひとつ ふたつ 祈り結ぶ
遠き約束の音色が
たとえ うたかたの温もりでも
どうか ひとときの安らぎを


時の河の流れはとめどなく
栄華に咲く業の花も 憂いの葉も
罪の刃さえも 等しく飲み込む


悠久の大地 染める黄昏に
何故涙あふれ出す?
熱き信念(おもい)の果てで


ひとつ ふたつ 空に還る
遠き兵(つわもの)の面影
たとえ たまゆらの賑わいでも
今はひさかたを仰ぎたい


ひとつ ふたつ いのり結び
そっと優しく軋む空
いつか とこしえをたたう愛が
どうか あなたに届くように・・・』



二番隊隊舎に響く悲しくも美しい歌声

歌うのは二番隊三席の桜恋


先日五番隊にいた桜恋に裏廷隊伝令部が伝えたのは討伐任務に出ていた四席〜十席までの上位席官の殉職を伝えに来たものだった・・・

急ぎ二番隊に戻った桜恋は詳細を聞き、各対応に追われていた

その一つがこの隊葬だった


隊葬に参加しているのは二番隊隊士や殉職した隊士と関りがあった他隊の隊士など様々だった


殉職した隊士を悼む者

残された隊士を慰め支える者

様々だった

隊葬も終わり、人も疎らになってきた頃


まだ忙しそうに動き回る桜恋

そんな桜恋に・・・

「桜恋さん、大丈夫っすか?」

喜助が声をかけた

「喜助さん・・・私は大丈夫ですよ」


少し疲れた顔をしてほほ笑む桜恋を喜助は心配そうに見た

その表情に気が付いた桜恋はもう一度大丈夫だとほほ笑む

これ以上言っても桜恋は何も言わないだろう・・・と分かっている喜助は・・・


「・・・分かりました。夜一さんの所に行ってくるっす・・・何かあったらすぐに言ってくださいね」

「ありがとうございます」



喜助が夜一のいる隊首室へと向かうのを見届けた頃・・・




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