★恋の炎に身を焦がす★【完結】

□06_副隊長に
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おはようと次々に教室に生徒が登校してくる

そして、朝から話題になっているのは今日の特別授業の事だった

1組は特進クラスという事もあり他のクラスとはカリキュラムが違う

その中でも、実際に護廷十三隊に所属する席官たちが霊術院に足を運び直接指導してくれる特別授業は死神になり入隊を目標としている生徒たちにとっては貴重なものだった

その為、楽しみにする生徒たちも多いのだが、今回に限っては期待や喜びよりも不安を抱いている生徒たちの方が多い

それもそのはず

今回の特別授業は護廷十三隊きっての戦闘部隊

11番隊の隊士による斬術の授業だからだ

霊術院の生徒たちにも11番隊の怖さは聞こえ伝わっている

好戦的な荒くれ者が多い隊だと聞いただけで生徒たちがしり込みするのも仕方はない




そして、授業の時間となり・・・


「あっ、レンくんがいるよっ」

「そうだね」

水花と煉は2人にしか聞こえないような声でコソコソと話す

今回の授業には

十一番隊第三席である班目一角を筆頭に、第五席の綾瀬川弓親、第六席の阿散井恋次
他隊士数名が霊術院へと足を運んだ


煉と水花は恋次が優しいと知っているが、他の生徒は初対面

恋次だけでなく、一角も他の隊士も見た目はかなり怖い

唯一、弓親がまだ優しそうだと・・・

見た目はあれだけど・・・

相手をいてもらうならあの人にしよう・・・

生徒たちは心の中でそう思った

それが間違いだと気が付くのはもう少し後の事だが・・・




そして、自己紹介も適当に・・・

「で?こん中で一番つえーヤツはどいつだ?俺が相手してやるっ」

一角が男子生徒が固まっている方を見て叫ぶと全員がビクッとなって目を伏せた


「チッ、どいつもこいつも情けねーなっ」

何でわざわざ弱い奴等の相手をしないといけないんだとイライラを募らせる一角

そんな一角に幼い少女特有の可愛らしい声が投げかけられた

「あの、多分私です」

声の方を見れば、自隊の副隊長よりは大きいが明らかに子供といった容姿の少女

「はぁっ?」

驚く一角を無視して小さい少女は続けた

「一回生筆頭、水無月煉です。班目三席、お相手お願いします」


そう言って木刀を構える

その姿は真剣そのもの


「へぇ、おもしれー。相手してやるよ」

「ちょっと、一角、止めなよ。こんな小さな女の子相手に」

弓親が止めるが、既にその気になった一角を止める事は出来ない

「弓親さん、大丈夫っすよ」

一角を止めようとする弓親を止める恋次

面白そうに一角と煉を見つめる

「あの子の事知ってるのかい?」

普段なら恋次も止めるはず

それを止めないのは何か知っているのだろうと弓親は思った

「はい。霊術院に入る前から知ってます。あいつ、強いっすよ。もちろん、一角さんに勝てるわけはないっすけどね(笑)まぁ、見てやってください」






そして、繰り広げられた打ち合い

長く続いた

もちろん、一角は全力でやっているわけではないが、目の前の小さな少女が自隊の下位席官よりは既に強い事は分かっていた

イヤ、下手すると、もう少し上のヤツよりも強いかもな・・・

そんな事を考えていたが・・・

「そろそろお終いだっ」


ガキンッ

「あっ!」

煉の持っていた木刀が弾かれ、その瞬間、一角の木刀が煉の首へと突き付けられた


「っつ!!・・・参りました」

そう言った瞬間、ペタリと地面に座り込んだ煉

体力もそうだが、極限まで集中していた為、一気に体の力が抜けてしまったのだ


「大丈夫か?煉」

「煉〜〜。大丈夫〜〜?」

恋次と水花が煉に駆け寄った


「ん・・・大丈夫。ちょっと疲れただけ。班目三席、ありがとうございました」

「イヤ、俺も楽しかったからな。それにしても小さいのにつえーな。恋次、知り合いか?」

「はい、ほら、前に言ったじゃないっすか、流魂街の子で強い子がいるって。霊術院に入る前から俺が相手してたんすよ」

嬉しそうに言う恋次を見て、よほど可愛がっているのだろうと誰もが想像出来た


「あぁ、日番谷隊長の?」

「本当の妹はこっちっすけど、煉の事も同じように可愛がってるんすよ」

「日番谷水花です。お兄ちゃんがお世話になってますっ」

自分に話しが向いた水花は一角達に頭を下げ、自分も他の隊士の人に稽古をつけてもらうんだと張り切って行った



「煉はもう少し休んどけよ?」

座ったままの煉を立たせ、稽古場の隅の方へと向かった


2人稽古場の隅で並び・・・


「なぁ、煉、これ、まだ内緒なんだけどな。俺、今度六番隊の副隊長なるんだ」

一瞬何のことか良く分からない顔をした煉だが・・・


「えっ!!レンくんがっ!!??凄いっ!!おめでとうっ!!!」

煉にしては珍しく大興奮していた(笑)


「ばっ!声でけーよっ」


「あっ・・・ごめん・・・でも、良かったねぇ〜〜」


前に少しだけ恋次から追いつきたい人がいると聞かされていた煉は自分の事以上に嬉しく思っていた・・・



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