★恋の炎に身を焦がす★【完結】

□07_守るために
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現世にて引率の隊士に教えてもらいながら1人1人魂葬を行っていく


2回、3回と行うと段々慣れて来た生徒たちは最初こそ緊張してガチガチだったが現世研修の終わりが近づく頃には肩の力も抜け、

意外と簡単だったなぁ〜と無駄口を叩く余裕も出て来ていた



「ほらっ、そこっ、喋らない!」

すかさず注意され小さくなる生徒たち


水花もバレないように煉に話しかける


「思ったよりも早く終わったね〜。今日、お兄ちゃんがお仕事休みだって言ってたから一緒におばあちゃんちに行かない?」


明日は学校も休みである為、そのまま流魂街のおばあちゃんちに一緒に泊まろうと煉を誘う水花


もちろん、煉が断るはずもない


「もちろん♪」


学校が終わったら楽しい事が待っている

そう思うと、ともかく早くこの実習が終わらないかな〜と2人ともソワソワしだしたのだった(笑)







それから間もなく、全員が規定の人数の魂葬を終えた


煉が代表して引率の隊士にその事を伝えに行く



「点呼終わりました。全員そろって・・・」


最後まで言わずに煉の表情が変わった事に気づいた引率の隊士たち


隊士のうちの1人、理吉ももちろんその事に気が付き・・・


「煉ちゃん?どうかした?」


「・・・イエ、何か・・・感じませんか?」


煉もハッキリとは言えないほど何か違和感を感じているだけだったが、その違和感の正体はその後すぐに分かる事になる



「!!!!!危ないっ!」


理吉を突き飛ばし、煉自身もそのまま一緒に転がる


そして、理吉がいた場所は大きく地面が抉れていた







虚の爪によって・・・


一瞬何が起こったのか分からない生徒たちだったが、虚の発する咆哮によって我に返り、一瞬にしてパニックになった



逃げ惑う生徒たち


生徒たちを落ち着かせて非難させようとする隊士たち

でも、隊士たちも席官ではない平隊士

目の前に急に現れた巨大虚に動揺している

理吉も・・・


「何だよ、これっ!」


「うわーっ!!!!」

「おいっ!!!大丈夫かっ!!理吉っ!救援要請をっ!!!」

「分かってるっ!!」

引率の3人の隊士たちもパニック状態だった

それもそのはず、3人は死神とはいえ平隊士

虚討伐も上司と一緒にしか出た事はないのに・・・



「・・・な・・・に・・・これ・・・」


いつの間にか巨大虚は数十体に増えていた



煉は思わず虚にやられ、倒れている隊士に駆け寄り回道にて傷を癒していく



つい先日の特別実習で4番隊の隊士から教えてもらった事を思い出しながら必死だった



その間にも・・・


「おいっ!大丈夫かっ!?」


3人の隊士のうち2人が戦闘不能となった



現在立っているのは理吉のみ


その理吉もケガを負っている

「(このままじゃ・・・)」


まだ避難出来ていない生徒も多くいる


霊力を持っている生徒たちに虚がいつ気が付いてもおかしくない

「(救援はさっき理吉さんが呼んでいた)」


煉は冷静になろうと努めた

「(みんなを非難させて時間を稼がなきゃ)」

そう考えた煉は傷を負った2人の隊士に応急処置だけ施し・・・


「水花、みんなを非難させてっ。誰か、隊士方2人を支えて連れて行って」

「煉はっ?!」


「・・・時間を稼ぐわ」

そう伝え、虚へと向き合った煉


「煉ちゃんっ!?」


「破道の六十三 雷吼炮!!!」


直前に向かってきていた虚に向かって力いっぱい破道を打ち込む


しかし、崩れ落ちたのは一体のみ


詠唱破棄をした鬼道では思ったよりも威力が出なかった

しかし、これだけの大量の虚を前に詠唱している余裕はない

次々と鬼道を放つ煉

学生の身で上位の鬼道を放ち、巨大虚へ立ち向かう姿は同じ生徒である同級生はもちろん、隊士である理吉も驚いた


そんな煉であるが、霊力はかなり限界だった

だんだん押されはじめ・・・

理吉も虚から受けた傷が原因で今にも倒れそうになっている



そして、いつの間にか・・・


「(しまった!囲まれたっ)」

虚に囲まれた煉

誰が見ても絶対絶命だった

「煉ちゃんっ!」

理吉も煉に駆け寄る力が残っていない



そんな煉に・・・



「煉っ!!!」

「水花っ!?来ちゃダメっ!」



煉を救おうと浅打を抜いた水花が駆け寄った


その水花に気づいた別の虚が水花に牙を剥く



「水花っ!!ダメっ!!!!!!」




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