★桜の花が咲く頃に★【完結】

□09_相聞歌(そうもんか)
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ヒロインside

十三番隊隊舎

十三番隊の隊士も多いが、浮竹隊長と懇意にしている隊からも隊長や副隊長が参加している

おそらく京楽隊長繋がり、リサさん経由だろう

平子隊長や白(ましろ)さん、そして・・・六車隊長がいる

六車隊長の隣には十三番隊の女性隊士の方がお酌をする為に座っている

その女性隊士は夕刻六車隊長の隣を歩いていた綺麗な女性隊士だった・・・


「・・・海燕・・・」

隣に座る海燕を見ると少しバツが悪そうにしたが・・・

「気にすんな。あの人・・・うちの十三席なんだけどな・・・桜恋、大丈夫か?」

気にしてない・・・わけではないけど・・・

私に気にする資格はない・・・

「大丈夫だよ」

そう言って笑う私の顔を見る海燕は複雑そうな顔をした

大丈夫じゃないってバレてるんだろうなぁ

少し重い雰囲気の漂う私たちの空気を破ったのは・・・




「桜恋ちゃ〜〜ん。今日も可愛いねぇ」

八番隊の京楽隊長・・・


後ろから抱き着いてきた


「何やってるんだっ。京楽っ!女性に対して、そのような・・・失礼じゃないかっ!」

浮竹隊長っ!

常識人ですねっ

でも、私も最近、京楽隊長には慣れてきたんですよ


「・・・京楽隊長?離れていただけなければ・・・お腹に穴が空きますよ?」

京楽隊長の腹部に手を当てて、手に霊圧を集中させると、京楽隊長は顔を引き攣らせながら降参・・・とばかりに両手を上にあげて後ずさった


「・・・桜恋、今、何番を京楽隊長に放とうとした?」

海燕も顔を引き攣らせている

本当にするわけないでしょ(笑)

一応、いつでも打てるようにはしたけどさぁ(笑)


「八十八番。最近、詠唱破棄出来るようになったんだよね♪」


「桜恋ちゃん・・・僕を殺す気かなぁ?」

ハハハ・・・と乾いた笑いを浮かべた京楽隊長だった


「まぁ、良いや」

良いんだ(笑)

「それよりさっ、今日も何か歌ってくれないかな?そうだなぁ〜。なんか情熱的な恋の歌がいいねぇ」


京楽隊長は私の歌がお気に入りのようで、何度か京楽家の酒宴にも呼ばれてしまった事があるほどだった

「良いですけど・・・あまり期待しないでくださいね?」


情熱的・・・な・・・か・・・


少しだけ六車隊長の方を見ると・・・


目が合ったような気がした・・・


そして、私はいつものように歌を紡ぐ








言葉にすれば ほんの
一片(ひとひら)の言の葉
独り呟いて 頬染める
庭先の紅葉(もみじ)の色に


ふいに気配を感じて
振り向けば 其処に佇む貴方
聞いたのですか?思わず
恥ずかしさに逃げる私を追つて
抱きしめた 愛ほしき貴方よ


―愛してゐます。
抑へてたのに
溢れ出した言葉は 命の相聞歌(こひうた)
―生きて下さい。
祈るが如く強く囁く
誠の戀(こひ)をした
きつと一生一度
命を懸けて


―愛してゐます。
一言だけの
曇りのない誓ひは 命の約束
―生きて下さい。
貴方がもしも討たれるのなら
身代わりになりたい
其れは一生一度
全てを懸けて



―愛してゐます。
抑へてたのに
溢れ出した言葉は 命の相聞歌(こひうた)
―愛してゐます。
一言だけの
曇りのない誓ひは 命の約束
―生きて下さい。
祈るが如く強く囁く
誠の戀をした
きつと一生一度
命を懸けて
誠の戀を



愛しています・・・とあの人の事だけを想って・・・





そして、歌い終わった私の目からは涙が溢れていた・・・




し・・・ん・・・となる宴席



「桜恋、飲みすぎたな。今日はもう帰るぞ。すみません。浮竹隊長、こいつ酔ってるみたいなんで送ってきますね」


「あ・・・あぁ」


海燕が有無を言わさず私の手を引いて十三番隊から連れ出してくれた・・・












そして、私を送ってくれた海燕は・・・


「泣くほど好きなら見てるだけで良いなんて言ってんじゃねーよ」




それに私は何も返せずに自室へと入った







だって・・・

好き過ぎて、どうしたら良いのか分からないんだもん・・・

こんな気持ち初めてで・・・


どうしたら良いのか分からないんだもん・・・




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※吉岡亜衣加さんの『命ノ相聞歌』を一部引用しております。
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