★陽だまりの中で★【完結】

□04_違う表情
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「星〜、珈琲飲ましてや〜」

四番隊

星専用の調合室兼診察室兼執務室


当たり前のように扉を開け、当たり前のように診察用のベットへと腰を落とすのは五番隊隊長平子真子


最初は五番隊の隊長が訪れる事に何事かと驚いていた四番隊の隊士も既に慣れたもので、驚く事のなくなった

案内をしなくても勝手に星の診察室へと行くことも分かっている


「・・・平子隊長、ここは喫茶店ではないと何度も言っておりますが・・・」


ため息を吐きながらも珈琲を淹れる準備をする星に笑みを溢す真子

「まぁ、ええやん。星の淹れた珈琲が飲みたいんや」




「ったく、また仕事抜け出してきたんですか?」


はい・・・と珈琲を差し出しながら、星自身も珈琲を持ち、自分のデスクの椅子へと座る



珈琲を入れているカップもいつの間にか真子が用意した専用の物



「人聞きの悪い事言わんどいてや。休憩や、休憩。ちょっと息抜きするくらいええやろ〜」



「はいはい。飲んだら帰ってくださいよ〜。桃が困りますからね〜」



クスクスと笑いながら珈琲に口をつける星に見惚れる真子



「なぁ、今日仕事終わったら飲みにいかへん?」



隊長に復帰し、隊も落ち着いて来た


こうやって星ともよく話すようになったし、そろそろ前に進みたいと考えた真子は2人で飲みに行くことを提案した



「あら、隊長の奢りですか?(笑)」


冗談めかして笑う星だが、


「当たり前やろ(笑)」


女の子に払わすわけないやろ・・・と苦笑いの真子



「それは嬉しいお誘いですけどねぇ・・・。今日は夜勤なんで、また誘ってください」



真子はジッと星を見る


躱されただけなのか、それとも本当に今度は行く気があるのか・・・


探ろうとするのは大人の悪い癖やな・・・と溜息を吐きつつ・・・


「じゃあ、また今度誘うわ」


「ええ、ぜひ」







それから2人はたわいのない話をした


現世の事

現世に残ったひより達の事


時間はあっという間に過ぎ


「平子隊長、そろそろ戻らないと桃が迎えに来ますよ(笑)」


ここにきてから1時間近く経っている


そろそろ桃もしびれを切らして探しに来る頃だろう・・・


真子もそれは分かっており


「せやな・・・そろそろ戻るわ、珈琲美味かったで」


おおきに・・・と星の診察室を出ようとした時・・・



ガラッ


急に窓が開き


「星っ、かくまってくれっ!!」


「「一護っ!?」」


窓から入って来たのは死神代行の少年


黒崎 一護



愛染との闘いで死神の力を失っていた一護も力を取り戻し、こうやって時々尸魂界に来るようになっていた



「あれ?平子?何でここにいるんだ?」


「それはこっちのセリフやっ。何してんねん。じぶん」




「一護、また更木隊長に追いかけられてるの?」


呆れたような声を出す星に肩を竦めながら


「あぁ、頼むよ。ちょっとの間ここにいて良いだろ?」


「仕方がないなぁ〜」


そう言って笑う星の表情にいつもと違うものを感じた真子


ここで自分が隊へと戻るとこの一護と星が2人きりになってしまう


隊へ戻り難くなっていた真子だが・・・









「平子隊長、本当にそろそろ戻らないと・・・「平子隊長っ!!!いつまで休憩するつもりですかっ!!!」・・・桃が来ますよって言いたかったんですけど・・・」







結局、真子は桃に引きずられるようにして帰って行った




しかし、五番隊に戻ってからも星が一護に見せた表情が気になって仕事が進まず、また桃に怒られるはめになった真子だった・・・



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