★陽だまりの中で★【完結】

□07_お出かけ
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「平子隊長?すみません。お待たせしました」

待ち合わせ場所に時間の数分前に星はやって来た

「いや、俺もついさっき来たばかりや」

と言いつつ真子は30分前にはこの場所にいた

朝から・・・と言うか、星と一緒に買い物に行く約束してから落ち着かない日々を過ごした真子

それでも、今日だけは何があっても絶対に休むと心と決めた真子は今までにないくらい真面目に仕事をこなした



あの時・・・

如月の簪が欠けてるのを見つけた時

真子はデートに誘う良い口実が出来たと思い、意を決して・・・

『新しい簪を贈らせて欲しいんや』

そう言った真子に星は・・・

『贈って頂く理由がないです。欲しい物くらい自分で買いますよ?』

・・・完全に真子が口実で言ってるなんて気づいてもいなかった

それからは必至に色々と理由を付けてともかく一緒に出かけようとした真子が色々と理由を付けた結果・・・



「じゃあ、行きましょうか?平子隊長、取りあえず、一通り買い物が出来るお店と、飲食店を数店舗ご紹介する感じで良いですか?」

「ええで」

結局、こっちに戻って来てから仕事ばっかりで瀞霊廷内の事が良く分からんからという真子に瀞霊廷の案内も兼ねて一緒に買い物に行く・・・と言う事で落ち着いた



「100年前とは結構違うもんやなぁ」

「ここ数年だけでも新しく出来たお店が多いんですよ」


ほら・・・このお店も・・・と左側のお店を指させば、星の左側を歩く真子に星が触れそうなくらい近づく

たったそれだけの事なのに、年甲斐もなくドキン・・・とする真子だった


「この辺りって100年前はどうでした?」

「せやなぁ〜」

自分の知らない瀞霊廷の話しを聞くのが楽しいのか、真子の話しを興味津々と言った表情で耳を傾ける


そんな様子の星が可愛く、真子はいつも以上に饒舌だ



「あ・・・このお店入っても良いですか?最近出来たばかりだけど人気の小間物屋さんらしいんですよ」

「ええよ」


2人一緒に店に入り、女性客ばかりの店内を見て真子は本当に人気のある店なんだ・・・と周囲をキョロキョロしながら思った

「・・・すみません、居心地悪いですよね?すぐに済ませますね?」

「気にせんでええよ。ゆっくり見いや」

星が気にしないように自分も商品を見て回る中・・・


「これとか似合いそうやな」


真子が手に取った簪は手彫の一本簪


彫られているのは・・・

「竜胆・・・?」

「星にぴったりやろ?」

そう言って星の髪に当ててみた

シンプルなデザインは仕事中も付けやすい

「素敵ですね・・・竜胆は好きな花です。隊花って言う事もありますけど・・・」

「星は竜胆みたいやな・・・」

真子の言葉に首を傾げる星

「真っ直ぐと上を向いて凛として・・・綺麗や・・・初めて会った時・・・あん時、そう思ったんや」

初めて会ったあの戦いの中

憎しみに囚われる自分達と違って、ただ、傷ついたひよ里を助ける・・・と自分を見上げた星を思い出し、真子はそう思った

「・・・何か・・・恥ずかしいけど、嬉しいです」

そう言って少し照れくさそうに微笑んだ星は「これにします」・・・と会計へと向かった


その後ろ姿を真子は真剣な眼差しで見ていた事を星は知らない


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