★陽だまりの中で★【完結】

□09_元十番隊
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「星、怪我人だ。来てくれ」

「直ぐ行く」


九番隊、十番隊、十一番隊の合同演習

救護テントで怪我人の治療と部下たちに指示をしていた星が修兵の元に向かう

「捻挫ね。救護テントに運んで?」

部下に指示をして怪我人を運ぶ


十一番隊も加わった演習

警戒していたほど荒れたものにはならなかった


各隊の隊長、副隊長は部下の指導だけという事で面白くない・・・と剣八が参加しなかった事も大きな要因だが、前もって星が十一番隊に釘を刺しておいたのも効果的だった


程よく軽度の怪我人が出て四番隊の隊士にも良い練習になって丁度いいと星は満足気だ




午前の部の終わり、昼食をはさむ事になった


隊士に加え、救護班の四番隊の分も弁当が用意され合同演習で使用している広い総合演習場のあちこちでそれぞれが弁当を広げていた


そんな中・・・

「星〜、こっち来なさいよ〜」

救護テント内でお弁当を食べようとしていた星に隊長、副隊長の休憩用に用意されたテントから乱菊が声をかけた

「ほら、お茶」

「ありがとう」

乱菊に呼ばれ、弁当を持って行くと修兵がお茶を淹れる

周りから見れば立場が逆では?と思うような光景だが、いつもの事だから誰も気にしなかった


弁当を食べ終わり、談笑しながら休憩をしていると・・・


「なんや、休憩中か?」

「平子隊長?」

ここにいるはずのない五番隊隊長の真子が顔を出した

「何しに来たんだ」

めんどくさそうに拳西が聞くと・・・


「暇やったから」


堂々とそう言い放った真子

全員が桃に同情した


「・・・冗談や・・・ちゃんと休憩中や。俺の事なんやと思ってんねん・・・全員」


酷いわ〜と真子は拗ねたフリをする


「これ、リサが一冊渡すの忘れてたって預かってん」

ちゃんと用事があったんだと胸を張る真子から少し距離を取り・・・


「ありがとうございます・・・」


「・・・・・・・・待ちぃ・・・あれは誤解やって言ったやろ・・・リサの陰謀やっ!」


少し距離を取って引いた目で見る星に抗議する真子を見て・・・


「お前、何したんだ?」

「拳西っ!?違うんやッ!リサがっ!!!」


つい先日星と2人で出かけた時の事を真子は拳西に話した


「・・・それは・・・なんつーか・・・」

同情する拳西だった

「平子隊長?気にしてませんよ?修兵の部屋にもそういう本、沢山ありますから(笑)」


「待てっ!俺まで巻き込むなっ!持ってねーよ」


俺持ってませんからねっ!乱菊さんっ!と乱菊に言い訳するが・・・


「いや、どうでも良いし(笑)」

「あ、乱菊さん、お茶の淹れ直しましょうか?」

誤解だと言う真子と修兵を無視して話し出す星


「あら、お願いね」

「冬獅郎は?」

「頼む」


3人の短い会話


その会話に・・・


「・・・ちょっと待ちぃ・・・何で冬獅郎だけ呼び捨てやねんっ!?」

「え・・・?修兵もですけど?」


正確に言えば桃や恋次、イヅル、ルキアも副隊長だけど呼び方は変えていなかった

しかし・・・

「冬獅郎とそない親しかったかっ!?」

接点ないやろっ!?と真子は引き下がらない


「ああ、そうでしたね。平子隊長はご存じなかったですね。私、元十番隊なんですよ。冬獅郎の先輩ですよ〜。と言っても冬獅郎の方が席次は上でしたけどね?」


お茶を淹れながら冬獅郎に視線を向け、ね?と同意を求める星にああ・・・といつものよう素っ気ない返事をする冬獅郎の声に優しさが含まれていた事と真子は見逃さなかった



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