Dream

□君がため
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「ねぇ、一期……」

「どうされましたか、主」

「……ちゃんと帰ってきてねて」

「…………はい」











大阪夏の陣―――。

一期にとってこの出陣を薦めたのは間違いだったのだろうか。
かつての主君であった豊臣家の籠城する大阪城がこの戦いによって炎上・陥落し、自身や弟の鯰尾藤四郎が焼失した……。


記憶をなくしたと言っても、断片的に昔の主のことを語る彼に隊長を任せたのは、酷だったのだろうか。
いつでも冷静沈着の一期だが、この任務が彼に適任なのか否か……。






「わたし、間違ってたのかな……」



そう思いながらも、彼にはこの出陣をさせるべきだと何故か直感的にそう思ったのもまた事実。

はぁ、と本丸の縁側にて深いため息をついていると廊下を歩いていた三日月宗近が足を止めた。



「おや、どうかされたのかな」

「ああ、三日月……ちょっとその…………」

「今回の出陣と……そうだな、一期一振の事だろう?」



図星をつかれ、黙り込む。

そんな真菜の隣に三日月はよいしょと腰をおろした。




「なぁに、心配なかろう。彼は落ち着いて任務をこなすさ」



そう、きっとそうなのだろう。

わかっているが、これが彼を傷つけてしまっていないか不安が募る。



「ねぇ、三日月」

「なんだ?」

「三日月は燃え盛る大阪城を見てたんだよね……」



一期一振と夫婦刀とされる三日月宗近――。
いったい、その時の彼はどんな気持ちだったんだろう。



「そうだな、昔のことだからな……」

「そんなこと言って……。一期と会ったとき、彼のこと覚えてた癖に」

「おや、バレていていたか」



そう言って三日月はバツの悪そうな顔をして、すこし寂しげに笑った。






「たしかに、あの時俺は高台寺であの炎を見た」

「悲しかった……?」



真菜の問いかけに少し間を置いてかポツリ、ポツリと三日月が話しだす。










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