Dream

□あなたの隣(完結)
2ページ/19ページ







「おじゃましまーす」

「もう何度も来てんだろ、ソワソワすんな」


私は万里が所属してる劇団の寮にお邪魔していた。
確かに何度か遊びに来ているし、劇団員さんとも顔見知りだが、男性が沢山いる寮に入るというのが私を挙動不審にさせていた。


「いや、でも、やっぱ緊張するよ……」

「チキン」

「はぁー???」



万里の発言に思わずキレるが、こんなのいつものやり取りだ。
きっと彼女だったらもっと扱いは丁寧なんだろうな……なんて勝手に想像してたら誰かに思いっきりぶつかった。


「……っ、す、すみません」

「あ、いや、大丈夫だ」


ぶつかったのは臣さんって人だった。
確か万里と同じ秋組の人。
私よりも随分背が高いから、すごく見上げてお詫びをする。



「ったく、ちゃんと前向いて歩けよ。臣、悪かった……」

「いやいや、むしろ図体でかい俺とぶつかって怪我してないか?」

「大丈夫です。ほんと、すみませんでした」

「それならいいんだ。可愛い子に怪我させなくてよかった」



ごゆっくり、そう言って臣さんは去っていった。





可愛い子なんて久方ぶりに言われたから、恥ずかしくなってポーっとしていたら万里に



「お世辞にきまってんだろ?」



と言われて腹が立ったから、後から蹴りを入れてやった。






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ