Dream

□あなたの隣(完結)
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「ねぇ、万里」

「んー」

「スマホの充電器借りてもいいかなー?」

「いいんじゃね?確かその辺にあったはず」



万里はそう言ってを電器が挿さってるであろうコンセントに視線を送った。
お借りしまーす、と小さく呟いて私はスマホの充電をする。


この部屋は万里の部屋ではなく、同じ劇団員の至さんの部屋らしい。
勿論無許可で入ってるわけではなく、ちゃんと本人に許可はとってあると万里が言っていた。
なんでも、同室の十座くんがいるから自室にはあまり居たくないのだと。
そこで同じゲーマーの至さんが仕事中で部屋が空いてるのでお借りしているという訳だ。


部屋に入るなり万里はスマホでゲームをしはじめた。
自分はゲーム音痴だから一緒にゲームをすることもないし、かと言って万里と話をしても途中でゲームに集中されて中々会話が成立しない。
だから、月末のテストに控えて勉強していた。
万里みたいに教科書を一回読めばテストでいい点数とれちゃうような天才ではないので仕方のないことなんだけど、解らないところがあれば万里に聴けるしまぁいいか、とも思っていた。







勉強も一段落ついたところで、万里の座ってるソファーに自分も腰をおろす。

なんかブツブツ文句を言いながらゲームしてる万里の横顔をマジマジと見ていたら、視線に気づいたのか万里がこっちを向いてきた。



「なに人の顔ジロジロ見てんだよ、気色わりぃなぁ」

「いや、黙ってればただのイケメンなのになぁって……」

「はっ、お前でもそのへんの感性は悪くねぇんだな」



そう言って、私の頭をワシャワシャとしてきた。
やめてよ、なんて言ったけどこういうスキンシップが実は嬉しかったりしてた。





万里って彼女とどんなスキンシップするんだろうなぁ……なんて不埒なことを考えてしまう自分に嫌気がさして、そばにあったクッションをぎゅっと抱きしめた。






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