居場所のない少女
□甘えと不安
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ファミリーのみんなと仲良くなれた数日間、ラナはいろいろなところに連れまわされたベビー5にはショッピング、ラオGには将棋、ジョーラにはお茶。他にもいろんな体験をしたラナは毎日ホクホクとしていた。
今日はなにをしようかとワクワクしていると外が騒がしいことに気づいた。
我が国の王が帰ってきたのだった。…ドフラミンゴは私の足が治ったところを見てなんというだろう?
良かったなっていって頭をくしゃりと撫でてくれるかな?
それとも足が治った瞬間に相手をしてくれなくなったらどうしよう。
不安と期待がこみ上げてもどかしい気持ちになる。
そんな気持ちいっぱいになっていると扉がゆっくりあいてドフラミンゴはいってきた。
『おかえりなさい』
「あぁ。ラナそこに座れ」
ドフラミンゴは入ってくるなり私をベッドに座らすと包帯の取れた足を撫でるように触った。
『…あの、どうですか?』
「俺は医者じゃねぇからわからねぇよ。」
『そうですよね!!全然痛みもないので大丈夫です』
私がそういうとドフラミンゴは無言で傷があった場所を見ている。少し戸惑っているとふと顔を上げるとサングラス越しにドフラミンゴの視線が突き刺さる。
『私を捨てないでくださいね』
「いきなりなにをいってる?」
なんとなく捨てられるんじゃないかと思った。それは嫌だ。これ以上は壊れてしまう…。
『なんとなく言いたかっただけです』
「あぁ、大丈夫だ」
優しくそう言われると嘘でも本当でも貴方を信じる以外の選択肢なんてなくなってしまう。
『ほんとうにお優しいんですね』
私がそう言うとドフラミンゴは少し寂しそうに笑った。胸の奥がキュッとなった感じがした。きっとあなたも何かを抱え込んでいるだね。
ドフラミンゴは私の足から手を離すと立ち上がりくしゃくしゃと頭を撫でた。
「ラナ」
『どうしましたか?』
「敬語やめろ、最初の態度はどこいった?」
確かに私は最初警戒の意を込めてタメ語になっていた気もしない…だけど命の恩人+すごい年上ってなるとどうしても家柄敬語になってしまう。
『努力します…』
「まぁ、待ってやる。」
悪のカリスマに甘やかされてる気がする。優しくされるともっともっと甘えたくなる。人をこれを我儘というのだろうかでも今は人肌というかなんというか…
『ドフラミンゴ…さん』
「ドフィでいい」
まさかの愛称のお許しを頂いた私は少し面食らった。
『ドフィ…』
「なんだ?」
『……ギュッとして欲しい…な。』
自分で言っときながらなんか顔に熱が集まる。普段はこんなこと言わないけどあなただからドフィだから、もっと触れてほしい。
「あぁ、」
そう言ってドフィは優しくでも逃げ出せないように私を抱きしめた。
また胸の奥がギュッとした。
なんだか歯痒い。でも嬉しい。
なんなんだろうこの気持ちは…?
「えらく、可愛いじゃねぇか」
『ドフィが優しいから…です。』
私がそう言うとドフィ少し自傷的に笑った。
「優しくなんてないさ」
そう言いながら抱きしめる力を強めたドフィに私は答えるように背中に手を回す。
私に居場所をくれたあなたは優しいよとても優しいよ。
たとえほかの人があなたを残虐だと言おうが非道だと言おうが私の中ではあなたは、世界一優しい人。
この気持ちが届くように私も抱きしめる力を強めた。