行き過ぎた愛情(クロロ)
□壊れた家族
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今まで通り、普通に生活できると思っていた。
幸せな家庭で過ごせると思っていた。
なのに…………―――
ありえない事が起きた。
あたしはいつもの寝る時間にベッドに入り、寝た。
数時間か経った頃、気持よく寝ていたはずなのに誰かに起こされた。
『……誰か…いるの?』
「マナミ……」
男の人の声が聞こえて驚いたが、その声はよく聞き慣れているライ兄様の声だった。
真っ暗な部屋に月明かりが差し込み、お兄ちゃんの顔が照らされる。
その表情を見て小さく悲鳴が出た。
満面の笑みで立っていたライお兄ちゃん。
閉めていたはずの窓は開いていてライの赤い髪の毛がなびく。
『ライ…兄様……?…こんな夜中にどうしたの』
「マナミ…オレはもう我慢できない。こうなったのも全て…全て全てマナミのせいだ。俺は悪くない。俺の可愛い可愛いマナミ…」
『に、兄様…?』
狂気のように何度も同じ言葉を繰り返す。
暗い部屋の中でギシリ…と音が鳴ったかと思えば、ベッドの上に登ってくる姿が見えた。
少々見の危険を感じて身体を起こし、ベッドから降りようとしたが、足を掴まれ、引っ張られてまたベッドに倒れこむと上から覆いかぶさってくるライの姿。
「お前はもう19歳だ…オレも21」
『だから何…?それなら理解するよね?この体制からしておかしいこと…』
「そんなのわかってるけどオレはもう我慢できないんだ。男と女が夜することはもう決まってるだろ?」
『おかしいよ!馬鹿言わないでっ!家族なんだよ!?』
退けてもらおうとライ兄様の肩の所を押すがビクともしない。
ライの目は光がない。
操られているかのように淡々と告げる。
「オレは…そんなの気にしない。お前だけ手に入れば…」
『い、嫌だっ!!あたしはそんな…んっ!!!?』
腕を強く捕まれて、強引にキスされた。
舌を入れられ、ねっとりと絡みあう。
あまりの気持ち悪さにお兄ちゃんの舌を噛んだ。
その痛みに顔を歪ませて離れた時にベッドから抜けだして部屋から出て長い廊下を全力で走る。
家は無駄に広くてこういう時は不便だと思いながらも両親の部屋に行き、助けを求めた。
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