行き過ぎた愛情(クロロ)

□壊れた家族
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両親は念能力者。
そして兄様も…。

私は念はいらないと言ったがせめて体力をつけておけと言われ、運動神経だけはいい。
精孔を開けないようにしながら念能力を持つ両親や兄と修行をした。
たとえ念が使えなくたって対等に戦えるまで強くなった。

うちの家は宝石など高価なものをいろいろ取り使っており、狙われることが多いからだ。

だからお父様には念を覚えればこの家の誰よりも強くなれると言った。

それでも覚えることはしなかったけど今は少し後悔。
兄様は今敵に回ってる。


あの目は正気じゃない。
もしかしたら操られてる可能性もある。

状況をすべて両親に話すと深刻そうな顔をした。


「マナミ…貴女は逃げなさい」
「ここは俺達に任せるんだ」


お母様とお父様は広い部屋で私を守るように背中で隠す。

追いついてこの部屋にたどり着いたライ兄様は不気味なほどに笑う。


「父さん…母さん…マナミはオレのだ。寄こせ」
「ライ…お前は誰なんだ。お前はそんな奴じゃない」
「アハハハッ!!…何を言ってるの?オレは立派な立派な父さんたちの息子だよ?」


この場の雰囲気に合わない程の笑顔にゾクリと嫌な感じがした。


「私の知っているライはもっといい子よ。そんな笑顔は作らないわ」
『お母様』
「なら…邪魔をする奴は消すだけだ。この家の方針を忘れたのか」


お父様がそういった瞬間にライの殺気がものすごく膨れ上がり、すべての窓ガラスを割れる。


「マナミ、お前は逃げるんだ」
『やだっ!!置いて行くなんてッ!!』
「念能力者には念で勝つしかない。あいつは普段とは違うんだ」
『でもッ』
「2対1でこっちが有利だ。それに自分の息子に殺られるほど俺達は弱くない」
「クククッ…父さん……早く死んでね。マナミ、もう少しで俺のものにしてあげるよ…」


ライが具現化した刀と銃を持つ。
それを見た私は両親に向かって背を向けて窓枠に足をかける。

お父様に名前を呼ばれて振り返ると、何かが飛んできてそれをキャッチする。
手の中に収まった2つの何かは両親の指輪。
泣きそうになったがぐっとこらえて"生きて"と聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟き、6階ほどの高さから飛び降りて脱出した。




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