大切な思い出をつくろう_3

□56_激動の人生
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(すごく名残惜しい論題な気はするけど、仕方ないか)

「しまうからね?」
『ええ』

コフィンは、素早く黒い刀を布に包んで、船首へと一気に走った。

「船でトラブルがあると、いっつも船首の方に走っていってるような気がする…」

はっきり言って、笑えない。

「どうしたんです?」
「セラ!みんなが喧嘩してるらしくて、がんばって走ってる」
「俺も行きます」

中央甲板にて(ようやく姿を見せた)セラスと合流して、喧嘩現場にまで駆けつけた。

「確かに、喧嘩中みたいですね…」

船首ではロニとリアラがジューダスと相対しており、両者の間には、気まずい険悪な空気が流れている。

(カイルでも中和できなかったのか)

”明るく元気で前向き素直”なカイルがリーダーになっているから、性格がばらばらの仲間たちがどうにかまとまっていると言えたが、どうやらカイルの仲裁を以てしても場は収まらなかったようだ。

流石に言い争いは止まっているようだったが、険悪ムードが満載だ。ジューダスは、ロニとリアラをしっかりと見据えた。
まるで、敵を前に剣を抜いた時のように、空気がぴりぴりと張り詰める。

「僕の正体がわからないと安心できないというのなら、仕方がない。おまえたちとの旅もここで終わりだ」
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