大切な思い出をつくろう_3

□56_激動の人生
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(私、みんなに何かした?)

定期連絡船の修理が終わったと知らせを受け、仲間を集めて、いざスノーフリアへ!と(酔い止めの薬を飲んで)船に乗り込んだのは良いが…仲間たちとの遭遇率が極め付きに低かった。

特に、最もコフィンが親しんでいるジューダスとセラスが。

じっとしちゃいないバカップル(リアラとカイル)や、船内のお嬢さん方に声をかけてはフラれまくっていたらしいロニだけは、最近ようやく見かけるようになったが…ジューダスとセラスはマントの端すらお目にかかれない。

スノーフリアへの航行は、一日二日で終わるものではないにも関わらず、(共同に使っている船室で)就寝前にしか姿をあらわさないという徹底ぶりだ。

(あり得ない。絶対、避けられてるよ…)

カイルとリアラとロニに関しては、ただ遭遇率が低かったと言うこともできるが、あの二人に関しては確信犯に違いない。

しばらくウジウジと悩み抜いた結果、コフィンは、黒い刀(ハロルド)を取り出して相談に乗ってもらうことにした。…とはいえ、船内で剣に話しかけるのは客観的にみても恐いし光景だし、甲板で剣に話しかけるのもやはり恐いだろうということで、中央マストをよじ登り、見張り台で剣に話しかけている。

黒ずくめのおねーさんが、船のてっぺんで剣に話しかけているのは、どっちみち怪しいじゃないか。という点に関しては、ツッコミをいれないのが優しさだと思ってスルーして頂きたい所だ。

「ねえ、ハロルド」
『そうねー。避けられてるわね』

(まだ訊いてない)

入浴以外では、四六時中、行動をともにしているだけあって、ハロルドにはコフィンが悩んでいたことなどお見通しのようで、ハロルドはコフィンが問いかける前に答えを寄こした。
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