大切な思い出をつくろう_3
□58_慌ただしい再会
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「今度会った時には、ゆっくりお話ししようって言ってなかったっけ。エルレイン」
「それは、また何れ…」
エルレインは、優しく微笑むと、すぐさま時空間を超えて消え去った。
「知り合いかね?」
「少し前に、あの人に盗難被害受けましてね。…ウッドロウ陛下、お怪我は…」
「さっきの…ように、”ウーくん”と呼んでくれないか?”レイ”」
さんざっぱらジューダスともども昔の調子で、ウッドロウの安否を確認しまくったおかげで、ウッドロウにはコフィンとジューダスの正体が”スレイブとリオン”だとバレてしまったようだ。コフィンは、微苦笑と共にウッドロウの眼を見た。
(さっさと観念して、口止めしておくのが利口かな?)
ウッドロウの眼は、「誤魔化しなんて許さない」と力強く語ってきている。
「…意識がはっきりしてきたみたいだね、ウーくん。心得ていると思うけど、私たちの正体は黙秘でよろしく」
死者の上、犯罪者だからね。とコフィンは人差し指をウッドロウの唇に当てた。
「わかったよ。それにしても、罪作りな美女に生まれ変わったのだね…レイ。うっかり惚れしまいそうだ」
「美女って言ってくれたことには、ありがとって言っておこうかな?おい!何をぐずぐずしている、陛下が負傷された!すぐに医者を呼べ!」
「はっ!す、すぐに参りますから…!」
兵士その一を叱り飛ばすと、謁見の間にいた兵士たちが正気に戻ったようで、バタバタと動き出した。国王が重傷というときに、兵士が棒立ちとはよろしくない傾向だ。
「兵士さん、急なトラブルに混乱しちゃったみたいだね」