大切な思い出をつくろう_1
□2_たべものをくれ
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ダメージは深刻で、アイテムの持ち合わせもなかったため、回復には三日三晩かかった。服はボロボロだし、腹ぺこで、一文無し。
どこにもいいところはなかった。
ふらふらと剣を杖にして歩く。
(しかもこれ、剣…じゃなくて刀だし。全体的に黒いし、刃が黒いって、材質は一体…っ)
ようやく建物らしきものが見えてきて、ほっと胸を撫ぜ下ろす。
大きな神殿だ。白くて、西洋風。
(うまく言いくるめればごはんくらい食べさせてくれるかも)
などと不謹慎なことを考えつつも、命がかかっているので、わりと本気だった。
向かい来る魔物たちを斬り捨てながら、神殿の奥に進むと、明らかに呪われていそうな怪しげな髑髏マークが鎖付きで、ふわふわと宙を浮いている。どこかで見た光景だが、とりあえず。
「この扉、呪われて…というか、封印されてるのか。つーか誰か居ないのかよ、くそっ!」
マジ泣きしそうになった。魔物が出てくる時点で、無人の神殿であることは、ちょっと覚悟したのだが。まさか、ここまで見事に廃れて、食糧が見当たらないとは。
その辺の草とか食べてみようか。