現代の思考回路の連続性

□夏祭り
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「どうして、これなんだ!!」
悟浄が三蔵宅で吠えていた。
それもそのはず、今日は夏祭りに皆で出かけるというので、金蝉が浴衣を用意して待っていた。三蔵、八戒の順で着付けてもらった。
二人の浴衣は男の子用の渋目の色の浴衣を見た悟浄は、自分はどんな浴衣かな?とうきうきして、待っていたのに。
目の前に広げられた浴衣は女の子用だった。

「おれはおとこだー!」
プンスカ、ほっぺまで真っ赤にして怒っている。そんな姿もかわいいと思う大人たちはしょうがない存在だ。
「悟浄に似合うと思ったのに残念です。」
目元に手を当てて、泣き真似をするのは金蝉の幼なじみで、八戒の保護者役を務める天蓬だ。
大人のそんな素振りを見せられた悟浄は、心底優しい心の持ち主なので、無理に抵抗することが躊躇われた。

「うう、わかったよ!きればいいんだろ!きれば!」
もうやけくそである。そんな言葉を待ってましたと言わんばかりに天蓬と金蝉が悟浄に着付けを施していく。
天蓬の手には、どこで買ったのだろう、化粧道具までこさえている。

「悟浄の着替えが終わったぞ。」
金蝉の言葉を聞いた三蔵と八戒は、走って見に行く。
二人の目に飛び込んできたのは、淡い黄色に赤い帯をして、髪の毛はツインテールで唇には口紅がうっすら塗ってあった。
「きれいですね!」
八戒は素直に声をかけるも、悟浄にとっては承服しかねる言葉だ。
三蔵は三蔵で、悟浄の姿に見とれて声も出ない。

大人も浴衣に着替えて、夏祭りへと繰り出した。
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