有象無象の本棚

□Fireworks
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妖怪に襲われることもなく、順調に旅を続けていた三蔵一行。
その日の昼には、町に到着することができた。
町は全体的に賑わっている。屋台や露店商、建物から建物までを繋ぐちょうちんの灯り。
どうやら祭りが始まろうかという雰囲気だ。

そんな楽しい雰囲気を逃さないのが、胃袋がブラックホールと化している悟空である。
「なあ、三蔵!なんか楽しそうだな!ちょっと見てきていい?」
「うるさい、このバカ猿!まずは、宿をとってからだ。」
「ええ、いいじゃんかよ〜。すぐ戻るからさ〜。」
「お前のすぐ戻るは、当てにならんからな。」

まるで親子のような会話をしていた三蔵と悟空を見ていた八戒は、笑いをこらえながらも万年欠食児童の保育に当たることにした。
「悟空。三蔵の言う通りですね。まずは宿をとって荷物を下ろしてから、お祭りに参加しましょうね。」
「わーい!八戒、ありがとう。」
「どういたしまして」
「八戒、こいつを甘やかすんじゃねえ。」
「いいじゃないですか。たまには羽を伸ばしても。」

八戒に半ば押しきられた三蔵は、ふんと鼻を鳴らした。

適当な宿を見つけ、フロントでオーナーと話をしていると、奥の壁に「花火大会」の文字を見つけたのは、悟浄である。
「へえ、花火大会か。だからこんなに賑わってんだな。」
「なるほど、そういうことですか。」
と、地味に納得した三蔵一行である。
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