有象無象の本棚

□コーンスープ
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晩飯も食い終えて、部屋で煙草を吸いながら、悟浄が風呂から出てくるのを待つ。
次の煙草に火を着けようと、中身を見ると無くなっていた。
ちっ、あいつが風呂から出てきたら買いに行くか。

悟浄も風呂から出て煙草を吸おうとしたら、やつも切らしていたらしい。
町の商店もまだ開いているだろうと勝手に算段し、後は二人して寝るだけの格好で夜の町に出掛けた。
髪が濡れている状態が気持ち悪いのだろう。バンズクリップとやらで髪の毛をまとめていた。
風呂に入ったとわかる匂いがやつから漂ってきた。
自分でもこんなにあいつがそばにいると感じた時には、少々動揺したがな。


「んでさ、悟空と八戒がさ、ふ、ふふ、んははははは!!!!」
話の落ちも見えねえのに、悟浄が盛大に吹き出した。
腹を抱えてベッドに顔を埋めている。それでも喋ろうとしている。
「おい、いい加減寝るぞ。」
欠伸を隠しながらキスをかましてやれば、一気に静かになった。
悟浄を抱えるようにして、布団に潜り込む。
だんだんと目がとろんとしてきて、首筋に規則正しい寝息を感じた。

ふと、時計を見ると、丁度午前0時だった。
そんな平和な旅と限らん。だが、1日のスタートを一緒に立てるということに、幸福感で満たされている。

蘇生実験を阻止して、面倒なことから解放されて、悟浄がいると約束された朝を迎えに行こう。
まず、あいつより先に起きたら、インスタントのコーンスープでも用意しといて、寝起きのアホ面で拝むことにした。


「おはよう」

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