有象無象の本棚

□Get Up&Move!!
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「あ、街が見えた!」
後部座席から乗り出して歓喜しているのは万年欠食児童の悟空である。
頭の中は肉まん、焼売、餃子・・・食べ物のことでいっぱいである。
「はいはい、じゃあ宿をとってから、ご飯にしましょうね。」
「わーい、やったー!」

食卓についていた悟浄が見たものは、1枚のポスターだった。
上からのスポットライトを浴びた黒いシルエット。
ポスターの内容をしっかり頭に叩き込んだら、次に必要なものが浮かんだ。
聞こえてきたのはアップテンポな女性の歌声だった。
(あ、この曲にする)
「おい、悟浄、要らなかったら俺食べていい?」
「バーカ、誰がやるかよ。」
1つ残った春巻きを平らげ、悟浄は席を立つ。
「悟浄、どうしたんです?」
「ん、何でもねえよ?」
「そうですか。鴨にされないように気をつけてくださいね。」
「へいへい。」
悟浄は店から出ていった。

向かった先はエントリー受け付けだ。
「まだ、エントリー間に合う?」
「ええ、構いませんよ?お一人ですか?」
「ああ、そうだ。」
無事エントリーを終え、向かった先はレンタルビデオショップだ。
さっき聞いた曲のCDを探したためだ。
目当てのものを見つけると清算をすませ、隣の青いペンギンの像が立つショップの中に入る。
衣装だ。

必要なものを買い求めると、今度は宿の主人に相談を持ちかけた。
「ねえ、マスター。この宿さ、鏡と防音壁のある部屋ない?」
「ああ、あるよ。お兄さんも出るの?」
「そうしようかと思って。」
「なら貸してあげるよ。デッキもいるかい?」
「ああ、頼む。」
「頑張りな。」
「ありがとう。」

悟浄は練習を始めた。
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