同じ世界を。
□蛍の光
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『そうだったんだ……』
勉強合宿から帰ってきた夏目くんに、とある一人の
ーーいや、一匹の子狐の話を聞いた。
話で聞いただけだけれど、
会ってみたいな。
燕の一件から、なぜだか妖たちに対する私の思いも変わってきたように思う。
友達……、
そうだね。
妖は…、悪い者ばかりじゃない。
そんな私の気持ちが伝わったのか、
腕の中にいた泡雪が嬉しそうにないた。
ふと、隣を歩いてる夏目くんに声をかけられた。
「なあ、羽叶」
『ん? どうしたの夏目くん』
「今度ーーー、蛍を見に行かないか??」
あ。
そっか、
もうそんな時期だったんだ……。
『うん!!行きたい!!』
そう答えると、嬉しそうに夏目くんは微笑んで
不覚にもドキッとしてしまったのは彼には内緒。
私は、この時はまだ
知らなかった。
当たり前だと思っていることにも
終わりがあるのだ……と。