同じ世界を。
□祓い屋と少女
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*ーー夏目side
「……羽叶」
走り出した彼女に追いついて、俺たちは黙って家路を辿っていた。
その時、一昨日見たあの女妖怪と出食わした。
「それ、気になるから巻き直させてくれないか?
済んだらもう無視してくれていいからさ」
つい、そう声をかけてしまう。
羽叶も何も言わず、コクリと頷いた。
旧家の前に行き、女妖怪の包帯を巻きなおす。
途中少し戸惑ったけど、羽叶が綺麗にしてくれた。
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女妖怪の話によれば、
昔どこぞの祈祷師がこの妖怪に縄を付け家と蔵を守るように命じたそうだ。
しかも、ちゃんと役目を果たさないと縄が締まり首が落ちる仕組みらしく…
初めは逃げようと必死に足掻いていたが、やがて諦めてしまったと言う
妖怪の手の爪は血だらけでボロボロだった。
そして、何年も何年も一人ボォーっと旧家の前に座っていると、ある日人間の男の子が声を掛けてきた。
妖怪の手の包帯は、その男の子が巻いてくれたものだという。
「縁とは面白いものだ。
あの子が祓い人としてこの町に帰ってきた。
ーーあの子の手柄になるのは喜ばしい」
その言葉に、俺と羽叶はその男の子が名取さんだということに気づいた。
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そして、家の前まで来たとき
彼女が口を開いた。
『夏目くん、
ーーーー友人帳って、レイコさんと関係あるの?』
「ーーー……!!!」
息が、詰まった。
そういえばさっき名取さんと居た時に、あの妖怪が友人帳と言っていたことを思い出した。
『夏目くん、あなたはきっと、夏目レイコさんの孫でしょう?』
「なんで……羽叶が知って…………」
『私も、
ーーー夏目くんに隠していることがあるの。
だから……
あの妖怪の件が終わったら、ちゃんと全部話すね』
呆然として何も言えない俺に、
じゃあ…また明日
そう言って微笑んで、彼女は家へ入った。