XS
□銀の糸
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鏡の前の自分に思わず驚きを隠せない。
こ、これが俺かぁ…!?
たった1回の手入れでここまで変わるのかというくらい艶が出ており、まとまりがあるまっさらな髪の毛になっていた。
ルッスーリアの言う通りにした甲斐あったぜぇ。これならボスも…。ただ、先程捨て台詞を吐いて部屋を出たためなかなか行きづらい。しかも用事がある訳でもないのに、のこのこと会いに行くとまた同じことの繰り返しとなってしまう。
だけど…。
ガチャッッ
「ボス、もう寝てんのかぁ…?」
行くか行かないかという葛藤を繰り広げていたらもう時計の針は夜中の1時を回っていた。
もう1度誓いたい。
スクアーロに対する返事はなく少しだけ寝息が聞こえてくる。その音にほっ、と安堵し、XANXUSが寝ているであろうベットの端に腰掛けた。
「俺はお前に…何されても…どう扱われてもついていくって決めてるぜぇ…。」
いつもの声量の半分にも満たない微かな声で呟く。髪がはらりとベットに触れる。
「それがお前の本心か。」
「ッッッ…!!お前起きてたのかぁ!?」
驚きを隠せないのも束の間、髪をグイッと引っ張られベットに引きずり込まれる。
「ゔぁっ…!?」
その反動で髪が広がり、ローズの香りが漂う。
「ふんっ、カス。悪くねぇ。」
思わず体を抱きしめられスクアーロの体は強ばってしまう。
「お前っ….ずりぃぞぉ…。」
勝手に部屋に忍び込んで、ましてやベットに腰掛けていたにも関わらず、XANXUSは殴りもせず、追い出しもせずこうやって抱き寄せる。
俺はまたお前に溺れるんだろうなぁ。
月がぼんやりと夜を照らす夜のひととき。こうやっていられることが一番俺にとっての幸せ、か。