一緒にいたい存在(HUNTER×HUNTER)
□二次試験×料理×戸惑い?
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目的地へ降り立つと、全員で下を覗く。
「さぁ、みんな。崖下を覗いてみて」
メンチの言葉にたじろぐ声が飛び交う。
「なっ、なんだ、あれは」
「クモワシの巣よ」
「あんなとこに巣を作るんだ」
ゴンが言った後に風が吹き上がる。
そのため、数名が後ろへ押し返され行く。
「巣の下の方をよく見て」
メンチに従い、巣の下を見る。
そこには無数の塊がある。
「あれは」
「あれがクモワシの卵」
メンチに続いてネテロが口を開く。
「クモワシは天敵から、卵を守るため、深い谷間に巣を作り、卵を産むのじゃ。それゆえ世界で最も入手困難な食材の一つでのう・・・別名、幻の卵と呼ばれておる」
「ちょっ、ちょっと待て・・・まさか・・・」
「そのまさかよ」
「えぇ!」
男の叫びを気にせず、メンチは飛び降りる。
周りはその瞬間、怯えた声でメンチを見つめるもメンチは糸を掴み、それ以上の落下を阻止した。
「・・・たとえ、卵を取れたとしても・・・どうやって上がってくる気だ?」
レオリオがそう言って間もなくに、メンチは飛び降り、卵を採った。
「おいおい。飛び降りちまったぜ。単なる自殺行為じゃねぇか」
「いや、違う・・・」
「・・・力の利用、だね」
レオリオの言葉にクラピカ、ヒロエと続く。
その数秒後に風により、メンチが浮いてくる。
瞬間、ゴンは歓喜の目を。
キルアは「オモシれぇ・・・」と呟いた。
「この谷底から吹き上がる上昇気流は、卵から孵った雛が空へと飛び上がれるようになっておるのじゃ」
「はい、これでゆで卵を作るのよ」
メンチはそう言って、先ほど採ってきた卵を見せる。
「じょ、冗談だろ?こんなもん、まともな神経で飛び降りれるわけがねぇや」
「こーいうのを待ってたんだ」
男の語尾に被せるように、ゴンが言いメンチが止める間もなくに、数名と下へ降りた。
それに続いてどんどん降りる。
「ま、待って。最後まで話しを聞いてっ!」
「大丈夫。こういうのに長けた人材を私は知ってます」
ヒロエはメンチにそう言い、ニコッと笑うとみんなと同様に降りた。
それから間もなくに一人が先走り、飛び降りた。
「俺達も行くか?」
「今飛んじゃダメだ」
「え、どうして」
「風だよ」
「風は常に吹いているわけじゃないからな」
「タイミングを掴まないと、あの人みたいに下へただ落ちるだけだよ?」
レオリオの質問にゴン、キルア、クラピカ、ヒロエの順に答える。
「その風はいつ吹くんだよ」
「待って」
レリオの言葉にゴンが集中し始める。
が、糸が少し落ちた。
「わっ、なんだ?!」
「この人数で、糸が耐えられないんだ」
レオリオとクラピカの言葉に対し、キルアは「ゴン、まだ?」と冷静に聞く。
糸が切れる不安からか、また数名が先に飛び降りてしまい、糸もかなりまずいことになってきている。
「切れるぜっ」
その瞬間にゴンが「今だ!」と叫んだと共に、全員糸から手を離す。
そして卵を手にし、数秒後には風により落ちていた体は押し戻されいく。
それを見たネテロは「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」と笑い、ミンチは「残りは?」と振り返った。
「・・・ギブアップみたいね」
「諦めるのも勇気じゃて」
それから夕方になり、みんなでゆで卵を頬張っていた。
「モグモグ・・・こりゃぁうめぇ・・・市販の卵とは比べ物にならねぇ・・・モグモグ」
「まさに、幻の卵だ」
そう声が飛び交う中、ゴンはメンチ達に殴りこんだ男・・・トードーにゆで卵を分けていた。
トードーはそれを食べ、「うめぇ!」と一言こぼした。
メンチは彼らに近寄り、「美味しいものを発見したときの喜び、少しは味わってくれたかしら?こちとら、これに命懸けてんのよね」と言った。
「今年は完敗だ・・・また来年、出直してきます!」
トードーはそう頭を下げ、ゴンはそれを笑顔を浮かべて見ていた。