一緒にいたい存在(HUNTER×HUNTER)
□嘘×奇術
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「ヌメーレ湿原。通称、『詐欺師の塒』。第二次試験へはここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達、その多くが人間をあざむいて食糧にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。
十分注意してついて来てください。だまされると死にますよ」
その言葉にヒロエは寒気がした。
それと同時に右腕を抑える。
サトツはさらに続ける。
「この湿原の生き物は、ありとあらゆる方法で獲物をあざむき、捕食しようとします。
標的をだまして食い物にする生態系・・・・・・詐欺師の塒と呼ばれるゆえんです。
だまされることのないよう、注意深くしっかりと私のあとをついて来て下さい」
サトツがそう言い、周りは油断していた。
そして、何やら騒ぐ人物が出てきた。
「だまされるな!!そいつはウソをついている!!そいつはニセ者だ!!試験管じゃない、オレが本当の試験管だ!!」
その言葉に何名かがうろたえる。
そして自分が試験管だと言う人物の手には、サトツそっくりの猿。
「これを見ろ!!ヌメーレ湿原に生息する人面猿!!」
「・・・」
それを見て、微動だにしないヒロエ。
「人面猿は新鮮な人肉を好む。しかし手足が細長く、非常に力が弱い。そこで自ら人に扮し、言葉巧みに人間を湿原に連れ込み、他の生き物と連携して、獲物を生け捕りにするんだ!!
そいつはハンター試験に集まった受験生たちを、一網打尽にする気だぞ!!」
男がそう言い終わると同時にトランプがサトツと、男のもとに飛んだ。
「っ!」
ヒロエは男の方にいたため、右の頬をトランプによりかすめた。
「ヒロエ!!」
「これで決まり。そっちが本物だね」
「んのっ!」
「キルア!私なら大丈夫だから」
「大丈夫ってお前、血がっ」
「大丈夫。ギリギリのところでかわせたから」
ヒロエの言葉にキルアはまだ言いたそうだったが、俯いて今度は笑顔を浮かべた。
「悪ぃ。頭に血が上りかけた」
キルアの言葉にヒロエは笑顔を浮かべた。
サトツはそれを確認してか、話し出した。