一緒にいたい存在(HUNTER×HUNTER)
□キケン×ワクワク×四次試験
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「ご乗船の皆様。第3次ハンター試験、お疲れ様でした!私、ガイドを務めさせていただきます、カランと申しまーす!
当船はこれより、2時間ほどの予定で、ゼビル島に向かいまーす!
ここに残った24名の方々には、来年の試験会場への無条件招待の権利が与えられまーす!
たとえ今年受からなくても、気を落とさずに来年また、挑戦してくださいねー・・・」
ガイドの声を聞いている者は、誰もいなかった。
みんな神経を研ぎ澄ましているのだ。
「戦いはすでに始まっている」
クラピカの言葉にレオリオが返した。
「ああ・・・みんな自分のプレートは外して、懐にしまい込みやがったもんな・・・」
「それでは、ゼビル島に着くまでの2時間は自由時間となりまーす!
みなさん、船の旅をお楽しみくださいねー!」
ガイドはそう言い、その場を立ち去った。
「・・・もしも・・・もしもだ。オレのターゲットがお前だったら・・・容赦なく、オレはお前を狩るぜ?」
レオリオの言葉に、クラピカは間髪いれずに、「とーぜんだ!」と返した。
「私のターゲットがお前なら、私も同じことを言う」
クラピカがそう告げると、レオリオは「えっ」と言い、その場に立ち上がる。
「お前のターゲットは、オレなのか?」
その問いかけに、クラピカはフッと笑い、レオリオを見る。
「もしもの話だ」
「ああ〜・・・それはそうなんだがっ!」
それにまたフッと笑うクラピカ。
「安心しろ。私のターゲットはお前じゃない」
「そ、そうか・・・」
クラピカは立ち上がり、その場を離れようとし、レオリオはクラピカの背に「オレのターゲットも、お前じゃないぞ!」と言った。
ヒロエはゴンのそばでカードを見つめていた。
そのカードには、198と書かれた数字。
視界に誰かが入り、そっちを見る。
「よ」
キルアだった。
ゴンはその声でキルアを見た。
キルアはゴンのそばに腰を下ろす。。
「お前ら、何番引いた?」
「キルアは?」
キルアの質問に、ゴンが聞き返す。
が、キルアは「ナイショ」と答えた。
ヒロエはそのカードを床に置き、指で支え、傾けたりしている。
どう伝えようか、迷っているのだ。
「安心しろよ。オレのターゲットはゴンとヒロエじゃない」
「オレも、キルアとヒロエじゃないよ」
「私も違う」
キルアとゴンの言葉に続いた。
キルアは考えるそぶりをしてから「お互い、せーので見せっこするか?」と聞く。
それにゴンが「オッケー」と笑顔で答える。
ヒロエは二人の前に座り直す。
「せーの!」
そして、互いの数字はゴンが44番でキルアが199番だった。
キルアとヒロエはゴンが手にする番号を見て、ハッと息を呑む。
「44番って・・・マジ?お前、クジ運悪いなー」
そう言われ、ゴンは「やっぱり?」と言いながら笑う。
「198番と199番って誰だっけ?」
「やっぱし、ゴンもわかんね?」
「うん」
「他のヤツの番号なんか、全部覚えちゃいないもんな・・・説明聞いてから、周り探してみたんだけどさ。もう、みんなプレート隠してやんの。せこいよなー」
キルアはそう言って、ゴンを見る。
ヒロエはゴンとキルアを見つめた後、静かにその場を離れる。
そして誰もいない場所に来ると、海を眺めた。
「ゴン達といたんじゃないのか?」
その声に振り向くと、クラピカが立っていた。
「・・・二人の話の邪魔、したくないから」
「そうか・・・」
クラピカはそう言うと、ヒロエの隣を指差して「そこ、いいか?」と聞いた。
「うん」
ヒロエは海に視線を戻す。
「・・・ヒロエとこうして話すのは、初めてだな」
「うん?」
「いつもキルアのそばにいるだろ」
「いつもじゃないよ。たまに私、一人だもん」
「それはないな」
クラピカの言葉にヒロエは首を傾げる。
「君が気づかないところで、キルアは君を見て、そばに行ってるんだよ。ゴンもそこは同じだろう」
「・・・かな?」
「そうだとも。それにキルアは君のこと・・・」
クラピカの言葉の途中で汽笛が鳴る。
クラピカはそこで言葉を切り「どうやら、着いたようだ」とヒロエに言い、みんながいる場所へ戻った。