一緒にいたい存在(HUNTER×HUNTER)
□生と死×面会
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それから夜が明け、パドキア共和国に着いた四人は電車に乗った。
ゴンとクラピカ、レオリオの三人は窓から顔を出し、外を見ている。
「見えてきたぜ・・・あの山に暗殺一家のアジトか。なんだか、不気味な雰囲気だよな・・・」
レオリオの言葉にヒロエは顔を上げる。
クラピカは「うん」と返事をし、表情を引き締める。
「着いたらまず、周囲の聞き込みだ」
「オーケイ!」
クラピカの言葉にレオリオがそう頷く。
町に下り、一人の女性に尋ねると、優しく教えてくれた。
「ククルーマウンテンね。それなら、山景巡りのバスツアーが出るのさ。一日一本だけど、ガイド付きで、あそこから出てるよ」
女性はそう言いバス停を指差す。
ヒロエは頭を下げると、ゴン達のもとへ行き、バスに乗った。
『えー、本日は号泣観光バスをご利用いただきまして、誠にありがとうございます』
ガイドはそう言い、頭を下げる。
『これからバスは、暗殺一族で有名なゾルディック家が住むククルーマウンテンへと、進んでまいります』
ガイドの言葉に耳を傾けながら、ヒロエはレオリオとクラピカの会話も聞いていた。
「明らかにカタギじゃねーよな」
「うん・・・」
ヒロエが口を開きかけたところで、ガイドの声が聞こえた。
『えー、みなさま。
右手奥をご覧くださいませ。
あちらが、ゾルディック家が棲む、ククルーマウンテンでございます。
樹海に囲まれた標高3722mのあの山のどこかに、彼らの屋敷があると言われていますが、いまだ誰も見た者はおりません。
そのゾルデック一家は10人家族。
曽祖父、祖父、祖母、父、母。
その下に五人の兄弟がいて、全員殺し屋です!
では、もう少しだけ山に近づいてみることにしましょう』
ガイドがそう言い、しばらくしたところでバスは止まった。
バスから下りると、目の前には高くそびえ立つ塀と門。
「うわぁ・・・」
と声を漏らすヒロエ。
その声は驚きとも、歓喜とも、なんとも言い難いものだった。
「こりゃすっげ・・・」
「こちらが、ゾルディック家の正門となります。
別名、黄泉への扉。
入ったら最後、生きて戻らないとの理由から、そう呼ばれております。
中に入るには、守衛室の横にある扉を使いますが、ここから先は私有地となっておりますので、見学できません」
ガイドの言葉にレオリオとヒロエが反応する。
「おいおい、正門って・・・山は遥か向こうだぜ!」
「はい。ここから先の樹海はもちろん、ククルーマウンテンも全て、ゾルディック家の敷地と言うことです」
ガイドの言葉にヒロエは言葉を失う。
レオリオは「これが全部、庭って事かよ・・・」と呟く。
ゴンはここに来て、初めて口を開いた。
「ねぇ、ガイドさん」
「はい?」
「中に入るには、どうしたらいいの?」
ゴンの言葉にガイドは、笑顔を浮かべたまま口を開く。
「坊や、私の説明。聞いてました?」
それに「うん」と頷くが、門を見据える。
ヒロエはそのゴンを見て、少し微笑んだ。