覚悟とその先(D.Gray-man)
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「武器化・・・」
そう呟き、ブレスレットを見つめる。
するとブレスレットは光り、武器になった。
それに驚き、柵から降りるとため息を吐く。
「・・・たっ!」
途端に頭痛が襲う。
『可哀想な子・・・』
そう声がし、耳を塞ぐヒロエ。
だが、その声は消えない。
『この村から出て行って!』
「っ!」
声がこだまし、体が震えたとき、耳に当てた手を誰かが静かに離す。
「大丈夫?」
その声に顔を上げると、リナリーの姿。
「どうしたの?」
「あ・・・」
何かを言おうとするヒロエだが、上手く言葉が出ず俯く。
「部屋へ行きましょ?」
リナリーの言葉に立ち上がると、部屋へと連れられた。
部屋に着くとリナリーがベッドに座らせてくれる。
「兄さん呼んでくるから」
リナリーがそう言うも、ヒロエは俯いたままブレスレットを見つめている。
喋らないことを心配してか、リナリーは戻ってきて、見ると笑顔を浮かべた。
「過去の記憶?」
「・・・わかんない。言葉だけなんだ。発動すると、一度だけ聞こえるの・・・『可哀想な子』とか『この村から出て行って』ていう声。それがいつのことかは思い出せないけど・・・」
「トラウマだね」
その声に肩を震わせ、扉の方を見るとコムイがいた。
「コムイさん」
コムイはニッコリ笑うと、ヒロエに近寄り、手を取る。
「大丈夫。今日からここが君の家であり、ここから出て行けなんて言う人もいないから」
「え・・・聞いてたんですね」
コムイの言葉に弱々しくそう言うと、リナリーはコムイを連れ出した。
静かになった部屋に一人、取り残されたヒロエは首を大きく振り、部屋の外に出る。