覚悟とその先(D.Gray-man)
□帰還の途中で?
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アレンが気づき、ジャンと街を歩いていると父親について、話をされる。
「オレの親父、黒の教団の科学者なの」
「えっ」
ジャンの言葉にアレンは小さく声を漏らす。
「もう、長い間帰ってきてなくてさ・・・そんで暇潰しで読んでた親父の研究資料で、アクマのことを知ったんだ・・・」
その話の途中でトマが、小声でアレンの名前を呼ぶ。
それは何かを伝えようと、人差し指で下を指している。
アレンはそっちを見ようと、首を向けかけるも、ジャンの言葉に再びそっちを見る。
それにトマは「はぁ・・・」とため息を吐いた。
「さっきのおっさん達は、全然わかってないんだ!オレはアクマの侵略から街を守るために、パトロールだってしてるんだよ」
「パトロール?」
「仲間もいるんだぜ!レオって言って、スゲェいい奴でさぁ!」
ジャンの言葉にヒロエは俯き気味に歩き、気がつけばアレンとトマの少し後ろを歩いてた。
トマはアレンに耳打ちをする。
「ウォーカー殿、勝手な行動は困ります。早く本部に戻りませんと」
「は、はい。わかってるけど・・・」
その声はあまり離れ過ぎていないお陰か、聞こえてきた。
「こうしてパトロールするのも、アクマのことを調べるためなんだ」
「調べるってどうして?」
ヒロエはトマの隣に並び直し、その横を歩く。
「・・・なかなか切り出させてくれませんね」
小声でそう言うとトマは「はい」と小声で返してくれる。
神田がこの場にいたら間違いなく、説教だろうとは思っていたが、ヒロエにアレンを咎める気はなかった。
ジャンとアレンは、それからも話している。
「調べるってどうして?」
「決まってんじゃん!オレもいつかスゲェ科学者になって、アクマを一瞬で消すような兵器を作るの」
「・・・あの、良いかな?ジャン・・・」
アレンが何かを言いかけたとき、ジャンがアレンを見た。
「それにしても・・・」
「なに?」
「エクソシストってこんなに貧弱そうでも、なれんだ?」
その言葉にアレンの頭には、貧弱と書かれた巨大な岩がのしかかったのが、ヒロエにも見えた気がした。
「貧弱??」
「オレのイメージ、マッチョのオッサンだったからさ?アレンとは真逆だな」
その言葉が相当なダメージを生み、落ち込むアレン。
尚もジャンは追い討ちをかける。
「よく、そんなんでエクソシストになれたねぇ。なんでなれたの?どうやってなったの?誰かのコネ?」
「コネじゃないかと・・・」
「・・・」
ヒロエは頭を抱えた。
どうにかして、アレンへの質問攻めを止めたい。
そう思ったからだ。
だが、その術が無かった。
さっき、アレンが言いかけた言葉・・・それすらも、もうジャンの中には残っていない。
そう思わせるほどのものだったのだ。