ゼル団長から「咲紀様」の護衛および監視役に任命されてから早2週間。
先生の厳しいレッスンの合間、
咲紀様は中庭でひとときの休息を取っている。
「あぁ、つかれたー」
ぐったりとテーブルに伏せて、ため息をつくプリンセス。
・・・・・
「実はコーエンジという……
こことは別の世界から来たんです、私」
・・・・・
咲紀様が真剣な眼差しで教えてくれた秘密。
自分には想像もつかない出来事で、
同じ様な境遇になったら、果たして男の自分でも
彼女の様に頑張ることが出来るのか?と疑問に思う。
ましてや……
咲紀様をふと見ると、
彼女と目が合う。
ニカっと笑い返すと、彼女も微笑みを返してくれる。
ましてや…こんな風に四六時中、
監視がついて自由のない生活の中、
まったく別世界のことを
短期間で身につけなくてはいけないだなんて
酷すぎる。
せめて自分が護衛・監視役の時だけでも
咲紀様に気楽に過ごしてもらえるようにしたい。
『女の子には笑ってて欲しい』
彼女のために出来ることは精一杯尽くそうと、
騎士団の一員として、剣をふるうことだけでなく、
出来ることはあるはずだと、心に誓う。
Aへつづく