★ミラプリ仕官部屋★

□主人公@
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はぁ〜〜疲れた…。
怒涛のプリンセスレッスン。
読めない文字に、慣れない社交マナー

一度逃げ出してしまってからは
24時間監視付き。

さらに国王様から伴侶を選べと強いられる毎日。

『おばあちゃんもこんな生活だったのかなぁ…』

中庭でつかの間の休息。
護衛はディルクさん。

ふと彼との出会いを思い出してしまう。


・・・・・

宮殿を抜け出して、元の世界に戻ろうと
街中をさまよっている時に、
柄の悪い連中に絡まれてしまった。

絶対絶命!と目を閉じた時

「女の子に何してんだっ!」
奴らを軽々掴み上げる男性が現れた。

「騎士団じゃないか?」「やべぇよ!」
そう言って連中は一目散に逃げちゃった。

「大丈夫でしたか?」
大きな手を差し伸べてくれた彼は
私を支えて起こしてくれた。

「自分が通りかかってよかったっす!」

聞けば今日は非番の日で街に出ていたと。
さっき柄の悪い連中が言っていた通り
”クリステン王国の騎士団”の人らしい。

彼の醸し出す温かい雰囲気に、
すっかり逃げ出すことを忘れてしまい
話し込んでいると…

「プリンセス!!」
ゼルさんに見つかってしまった…。
「ディルク!お前が見つけてくれたのか、すまない」
「いえ…プリンセスにお怪我が無くて何よりです」

ゼルさんに手首を掴まれ、逃げることはもうできない。

「また改めてご挨拶させて頂きます!」
ビシッと敬礼をして、その場を退く彼は
まさしく騎士団の姿。

『ディルクさん…っていうのかな?!』

捕まってしまったことはとても残念だったけれど、
ただ逃げ出すだけでは、どうにもならない、
自分の無力さを痛感してしまった。

『何か別の方法を考えないと…』
ゼルさんに連れられる馬車に揺られながら
決意を新たにしたのだった。

・・・・・

「改めまして、私、王国騎士団副団長の
 ディルクと申します」

「お初お目にかかります、プリンセス。
 王国騎士団副団長のヴォルフラムです。
 ヴォルフとお呼びください。」

「今日から私ゼルとこちらのディルク、
 ヴォルフの3人で、プリンセスの護衛を務めます」

後日、ゼルさんと一緒に部屋に来たディルクさん。
『副団長だったんだぁ〜!』

先日助けてくれた彼との再会は
少しばかり心をときめかせる。

騎士団=ゼルさん=怖い、というイメージが
出来上がりつつあったので、
副団長の2人の、ほんわかした雰囲気に包まれて
ちょっとホッとする。

・・・・・

紹介が終わると、さっそくディルクさんが残り、
日中は彼の警護だと聞いた。

ゼルさん、ヴォルフさんが退出して
しばらく2人っきりになる。

「…ひとつ聞いてもいいですか?」
ディルクさんが切り出してくる。

「…なんでしょうか?」
「…なんでプリンセスは
 宮殿を逃げ出してあの場にいたんですか?」

『ですよね〜!その質問しかないよねぇ…』

国王様に鏡の事は誰にもバレてはいけない、と
釘を刺されている。その事実を知ったものは処刑だと。

『でも…この人に嘘はつきたくないな…』
初めて出会った時から、なんとなく、
彼には素の自分で接したい想いを抱いていた。

「絶対、他の人に内緒にするって約束…できますか?」
真剣な瞳で彼に問う。

「…はい」
彼も神妙な面持ちで頷く。

「…実はコーエンジという……
 こことは別の世界から来たんです、私」
「?!」

驚いた表情を見せるディルクさん。

おばあちゃんにもらった手鏡のこと。
その手鏡が光ってこちらの世界に来たこと。
今までのことを全部打ち明ける。

『あー変なこというやつだって思ったかなぁ…』
…いきなり異世界から来たって言われても
信じられないよね…。
言ってしまってから心が落ち込む。


「それは本当に大変でしたね…」

けれどディルクさんの口から出た言葉は
私の想像と違っていた。

まっすぐな瞳、真剣な表情で見つめられる。
嬉しさのあまり、ポロリと涙が溢れてしまう。

「…ひとりで頑張ってたんっすね…」

「俺、いつでも話聞きますから!」

一生懸命、私を励まそうとしてくれるディルクさん。
そんな彼の姿に、ふふ…と笑顔になる。

ニカッと笑う彼の笑顔につられて、
私もさらに笑顔になる。

「今日イチの笑顔いただきました〜!」

こちらの世界に来て、積もり初めていた心の檻が
少し溶かされた気がした…。

つづく


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