BL

□寂しがり
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「りょーた、おめでとー!!」


ここはともくんの家の玄関。

出迎えてくれたのはもちろん
俺の可愛い恋人、ともくん。


「ありがとうともくん」


すかさず優しく抱きしめてやると
控えめに抱き返すともくん。
目の前の髪からふわっと漂う
シャンプーの香り。


(あかんな、これ…)


服装はいつも通り
デカイTシャツにデカイ半ズボン。

身体は男なのに
なんでこんなに可愛いのか

考えてるうちに、気づいたら
リビングのソファーに
引っ張られていた。


「何ぼーっとしとんねん

ほら、もう肉焼けるで」


焼肉、久しぶりやな

昨日はメンバーやマネージャーのみんなに祝ってもらって、パイ投げででろんでろんになった。

その時はみんなにお礼を言って回ったり祝福されたりで、ともくんにあんまりかまってやれなかったな。


なんて考えながら、
焼けた肉をひっくり返していく


「もうこれ食えそうやな
ありがとうともくん、いただきます!」


「ええから!いっぱい食えや」


「うんま!ともくんこれ
めっちゃうまいで!」


「知っとるわそれ
めっちゃ高いんやぞ

うまっ!!うますぎやろこれ!」


「せやからいっとるやんか!」



2人なのに騒がしいのはいつもの事。

2人でビール片手に大量の肉を
食い荒らしていく。


「ははっ、ほんまオッサンなったな」


「俺か?」


「ちゃうねん、俺も、ともくんも

俺ら付き合ったの3年前やから、俺24歳か?」


「俺26歳やったな」


「うん、俺らまた
大人っぽくなったんかもな」



「確かになあ、
俺が初めて良太に会ったときは
まだ酒も飲めんかったしな」


他愛もない話をして
少し酒も回ってきた頃。


「え、ちょ、まってや
あと一時間もせんうちに
雨降るて」

「まじ?

俺楽屋に傘忘れてきたからないんやけど…良太どうする?」


「雨ひどくなる前に帰るか…」


今は21時を少し過ぎた頃

ほんとはもっと遅くに帰るつもりだったけど、雨降る前に帰るか。


(2時間くらいしかおれんかったな)


「良太…帰るんか?」


しゅんとした顔で見つめるともくん


「そうやな…明日も朝からリハやし
俺楽器家やしな…」


「そーか…」


「大丈夫やて、また今度一緒に
飯食いにでも行こうな?」


「わかった」



ほんま、運ないわ。

ともくんが用意してくれた肉
まだちょっと残っとるし…

もっと一緒にいたかったな。



そんなに荷物も持ってきてないから、
支度もすぐに終わった。
まだ雨は降ってないみたい


「んじゃ、ともくん

ほんま、ごめんな?もっと一緒におりたかったんやけど

ありがとうな、
美味しかったし楽しかったわ」


「うん…俺も


良太、これ」



ともくんから渡された
小さい箱。

昨日も貰ったのに


ほんま、どんだけ優しいんやろな



箱の中身を見ようとした瞬間
不意に強く抱きしめられた

ともくんから抱きしめてくるなんて
珍しいので、正直驚いた。


「嫌や…行かんといて

昨日も一緒におれんかったし

離れたくない…

良太と一緒にいたい…」


ズルイな、ともくんは

顔は見えんけど
絶対泣きそうな顔してんのやろ?


ともくんの身体が熱い。

あー、あかんなー、とか
思ったときにはもう

「わかった」

って言ってた



「明日、朝早く俺の家行ってから
スタジオいくか?
それでも大丈夫か?」



「大丈夫やて、

良太と一緒におれるんなら
なんだってええから」


ほんまに……
お互い酔ってるとはいえ

こんな可愛いことばっか言われて

我慢出来んくなったら
どうすんねん。


「ともくん、わかったから
行かんから、

ちょっと離れような?」


「嫌や。」


「なんでや」


「俺、今は良太から離れたら壊れる」


もう勘弁してや…


「あかんねんて」


「なにがやねん」


「好きな人にこんなくっつかれて
可愛いことばっか言われて

いつまでも我慢できると
思っとる?」


そう言うと

ともくんは俺の胸に押し付けてた顔上げて、小学生みたいな笑顔で


「我慢する理由なんて、ないやん」


って言った




「ともくんには負けるわ」


へらっと笑って
ともくんを抱き上げて
部屋に戻った。


その後はまあ、止まらんかったな








(どんだけ顔赤くしてんねん)

(酔っ払ってるだけやし)

(嘘つき)

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