Long story

□Smile
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亨と練習した次の日。
僕は貴寛さ…貴寛に呼ばれたので
貴寛の家に向かった。



ピーンポーーン♪


「お、来たな、入って入って」


招かれて入った部屋は
やっぱり貴寛の匂いがした。


「それで、どうしたんです?」


あ、癖で敬語になった…


「あ、ダメじゃん

ちゃんとタメにしなきゃ
怒るよ?」


「すみません…」


「こら」



なかなかタメ口にできない僕の
おでこをぺちっと叩いた。

全く痛くないんだけど


「ごめん、それでどうしたの貴寛」


「うん、よし。

いや、今日休みじゃん?
特に用はないけどさ。

どうやら蓮くんが
僕のこと一番呼び捨てで呼びづらそうにしてたみたいなので。

バイ亨。」



「ご、ごめん…」


「ははははっ、ごめんて
そんな謝んないでよ

だから今日は
ゆっくりふたりで過ごして

もう少しお互いの事知って

仲良くなろう、みたいな?」



「わざわざすみません…」


「ねえわざと?

そろそろ敬語やめないと襲うよ?」



「ご、ごめん!!」



「冗談だから笑」



仮にも女なので焦った。

それからは、
たくさんお話して
亨とか、メンバーの
話とかして、

実はみんなほんとに
馬鹿だってことを教えられた。



ただ一つ気になるのは

この距離感である。



「貴寛、部屋広いんだから
こんなくっつかなくていいじゃん」


「俺寂しがり屋な子」


思わず吹き出してしまった。



「あ、やっと笑った。
ほんともういつ笑うかと思った

蓮、ちゃんと俺らに笑って?

俺らは蓮が笑顔でいてくんなきゃ
寂しいよ、いやこれはほんとに」



昨日に引き続き

なんでみんなこんなに優しいんだろう


タメ口の次は、笑え?

僕はそんなに笑ってなかったのかな


「なにか悩みがあるなら言って。

心になんか傷があるなら
俺らが治癒薬になる
闇があるなら照らしてやる

俺らはみんな蓮の笑顔を待ってる」





まただ、温かくなった

今度は抱きしめられてるわけでも
ないのに


彼らが放つ一言一言が
きっと僕の心を解かしてくんだ



「はい、お約束。」


亨ともしたんでしょ、って

亨の次は貴寛からの抱擁。

愛されてるなあ

なんて考えながら
また静かに抱き返した。






(大丈夫?
昨日亨に襲われなかった?)

(冗談やめてよ、僕一応男だよ)

(なんかあったら俺呼んでね
参加するから)

(貴寛さん?)

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