毎日楽しく団子を食べよう
□8.アジトへ
3ページ/6ページ
国木田sid
扉を開ければ信じなれない程に大きな空間へと出た
真っ白な床と壁と天井
明かりも十分すぎる程にあり、中にはいくつかの木箱が置かれている程度であった
さしずめ此処は倉庫だろう
だが、そんな広い空間や木箱に疑問を持っていると
部屋の奥に扉が見えた
だが、その扉の前には人が1人立っている
中島「敵、ですかね...」
国木田「あそこに立ってるんだ。十中八九敵だろう」
漆黒が人の形になったような格好のヤツが立っている
隣を歩くポートマフィアの連中を見ると
中原が酷く驚いている様子だ
?「やあ、武装探偵社とポートマフィアの諸君。私はこの計画を立案し実行に移した者だ」
突如、部屋の中に声が響いた
国木田「お前が、このフザケタ計画を考えたヤツか。何処に居る、出てこい」
?「ふふふ、出てくる訳ないじゃん。まあ、その目の前の「化け物」を殺せたら考えるけどね」
目の前の「化け物」?
と言う事は異能力者、か
どんな異能力を持っているか分からないが
コイツを押さえなければ奥の扉にたどり着けないって事だな
?「ふふ、ソイツは世界の最悪。異能力が一度暴走すれば自らが死ぬまで世界を壊し続ける。それだけ厄介な異能力を持った、異能特務課でも手に負えない異能力者」
ソイツは動かない
きっと、この放送の命令を待っているのだろう
それほどまでに忠実であるのか
?「キミたちごときでは太刀打ちも出来なければ触れる事さえも出来ないだろう。ああ、そうだ。1つだけ教えておいてやろう」
心底楽しそうな声音から重大な情報を聞いた
?「武装探偵社の太宰治と白川氷月は俺たちがいただいた。殺しはしないさ」
ブチッと放送が途切れた
そうか、アイツらは生きているし
どれだけ時間がかかっても殺される事はない
太宰の場合は自分でどうにかするが
問題は白川のほうだけ、か
中原「テメー、生きていやがったのか」
ずっと黙っていた中原が怒りを抑えながら目の前の敵に聞いた
?「武装探偵社、国木田独歩、泉鏡花。ポートマフィア、中原中也、芥川龍之介。合計5名の抹殺。武装探偵社、中島敦。捕獲対象」
中原「自分の異能力をどれだけ使いやがった。テメーはもう使わないとクソ太宰と約束してただろーがっ!!」
すぐさま異能力を発動させた中原は相手の間合いへと迫る
恐ろしいほどのスピードで近づくのに、相手は立っている状態だ
これでは相手が死ぬ
マフィアであるからではなく、中原の怒りがその人物へと直接向いているのが分かるからだ
中原「黒河っ!!」
黒河「異能力【方向転換】」
右手を突き出し、こちら側に掌を向けた
それに、異能力も発動させた
やっぱり、異能力者だったか
黒河「一時停止」
中原の右拳が相手の右手へと触れる
その瞬間
中原の勢いは完全に消え去り、普通に止まっているだけだった
中島「...あれ?」
中原はポートマフィアの中でも体術が優れている
重い拳なんざ造作もないだろう
中原「...ああ、そうだな。これは間違いなく黒河の異能力だ」
大きく飛びのいた中原は先ほどの位置までに戻ってくる
中原「アイツの異能力は【方向転換】だ。ありとあらゆるベクトルの方向と大きさを操作する。攻撃系の異能力者が最も嫌いな異能力を持っている」
ありとあらゆるベクトルの方向と大きさ
中原「効果発動は「触れる」事だ。体の一部にでも触れれば全てのベクトルが操られる。ただ、操る方向や大きさは一緒になる。そこが弱点だ」
芥川「「一時停止」は相手の大きさを0にし、「反転」は大きさを変えて方向は真逆にする」
泉「じゃあ、殴りに行ったら自分が自分の拳を受けるんだね?」
中島「俺って、一番不利じゃない?」
中原「【覚醒】や【暴走】がないだけマシか」
国木田「そうなった場合はどうなる?」
中原「【覚醒】は触れる事を無視し、自分の位置から半径1メートル以内の物体を自由に操る事が出来る」
芥川「【暴走】は全ての攻撃を「反転」にし、大きさを10倍近くまで引き上げる。「暴走」と言っているだけあり、自らの理性はない」
国木田「その状態じゃないだけマシ、か」
聞くだけで敵の異能力が攻撃系の異能力よりも圧倒的立場にある事が腹立たしい
全く、どう言うヤツなんだ
国木田「アイツとはポートマフィアなのか?」
芥川「元だ」
国木田「それだけで十分に分かるな」
懐から手帳を取り出し、文字を書く