毎日楽しく団子を食べよう

□4.休日の過ごし方
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白川sid



いくつかの依頼を受けて解決した後

国木田君から休日を貰った

情報収集とかで1日中仕事に明け暮れ

尚且つ、「椅子に一度座ったらトイレに行く以外に動かないから運動しろ」と言われた

それでなくとも卓上の仕事は予想以上に疲れる

肉体的疲労は少ないが、精神や五感を鈍らすかもしれない

そこまで言われては心配されていると分かっているからこそ

俺自身も渋々と休日を3日ほどいただいた

本当なら1日だけでいいんだが

そこまでは別によかった

問題なのは

太宰「さあ、次はどこに行く?」

『...図書館』

太宰「却下。白川君は紙媒体でも情報を収集するからね。少しは仕事の事を忘れた方がいいよ。それで?どこに行く?」

『...本屋』

太宰「ダメ」

俺の監視が太宰君なんだ

確かに休みを貰った

だがその休みを何に使おうが俺の勝手だ

なのにコイツ、俺が行きたい所を悉く却下する

国木田君に言われて俺の監視をしているらしい

それだけじゃない気がするけど

『じゃあ、スーパー。団子買って、行きたい所で食べる』

太宰「...まあ、それならいいかもね」

昼食を取りに入った喫茶店から出てすぐさまスーパーへと向かった

そして、そこで目的の物をいくつか購入し

俺の行きたい場所へとたどり着いた



ゴロンと坂になってる芝生に倒れこみ、当たり前のように青い空を見上げた

太宰「キミはここが好きなのかい?」

隣に座った太宰君は片膝を立て俺の方を見て言った

『うーん、春だったら好き。冬だったら嫌い』

太宰「あれ?でも白川君は春の川と冬の畑が好きなんでしょ?」

『畑が真っ白になるのは綺麗だから好きだけど、基本的に冬は寒くて嫌いだよ』

俺はどうしても冬の寒さが嫌いだ

乾燥してて息を吸い込むと喉が痛い

冷たい風が肌を刺激する感覚も嫌いだ

兎に角、嫌いで嫌いで仕方がない

太宰「変わってるね」

『ありがとう。最高の褒め言葉だよ』

俺にとって「変わってる」とか「変だよ」って言われるのは褒め言葉だと思っている

それだけ一般の人たちと違うって意味があるし

一般の人たちと違うと言う意味があるからこそ

俺が俺だという理由の裏付けが出来る

だからこそ、それらの言葉は褒め言葉だと思っている

太宰「なんで礼を言われるんだい?」

『ん?教えない。それに、俺の考え、読み取ればいいじゃん』

買ってきた三色団子のパックを開けて、左端を取る

ピンクの団子を頬張っては起きあがって川を見つめた

太宰「白川君ってさ、1人の時は無表情だよね」

『今は1人じゃないよ。太宰君がいるし、探偵社の皆がいる。今だけね』

白の団子を頬張ってから太宰君を見た

優しい笑みを零している

ポートマフィアにいた時代とは似ても似つかない笑みだ

彼はこれだけ変われた

友の言葉で、ここまで変われた

良い事なのか悪い事なのか

俺には到底理解も出来ない

太宰「ん?どうした?」

『なんでもない。笑みが仕事をしていると思っただけ』

太宰「なんだそれ」

俺にはそんな優しい笑みを浮かべる事は不可能だ

どうしても胡散臭くなる

楽しそうなのに、楽しそうじゃない笑みになる

きっと社内の人も気づいているだろう

正面の川を見ながら最後の緑の団子を食べた

味はどれも一緒

値段を安くするために色が違うだけで味は皆一緒

それでも、色彩の効果で若干味の感じ方が違うのは俺だけだろうか?

太宰「私は、キミの事が知りたいよ。白川君」

『...口説くのは女性だけにした方がいい。それに、俺の過去なんて知っても太宰君に得がない』

太宰「あるよ。私にはキミの過去を知る事で得がある。損得を決めるのは求める側の勝手さ」

『...両親はすぐに死んだ。俺たち双子を産んだ後。母親は衰弱し、父親は仕事中に。2歳でスラム街に捨てられた俺たちはスラム街で生活を送っている老婆に預けられた』

あれ?なんで俺、自分の過去を言ってるんだろう

矛盾した自分の中で、それでも口は勝手に喋っていく

『6歳まで生きて、老婆は寿命で死んだ。その後は何があったのか覚えていないけど、気づいたらパソコンの前に座っていて日々情報収集をしていて、弟がポートマフィアに入っていた』

太宰「気づいたら?記憶がないのかい?」

『そう言われればそうかもしれないけど、気にならないからどうでもいい』

太宰「私は気になるけどね」

『知らないものは教えようもないよ』

だから、感情が欠落してると言われた時

衝撃を受ける事もなかった

福沢さんに言われたし、自分でも自覚していたから
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